次世代半導体の国産化を目指し、千歳市の工業団地「千歳美々ワールド」に進出するRapidus(ラピダス、東京)のプロジェクト説明会(道、千歳市、同社が主催)が22日、北ガス文化ホール(千歳市民文化センター)で開かれた。同社の小池淳義社長は道と「北海道バレー構想」を進め、苫小牧、千歳、札幌、石狩で関連産業の集積を図る意向を表明。千歳に少なくとも2棟の工場を建設する考えで、周囲の自然と調和した工場の完成予想図も公表。6月にも同団地内で準備や造成を始め、「1棟目」を9月に着工し、2025年4月にも試作ラインを稼働させるなどの工程表も発表した。
苫小牧から国際海底ケーブル接続
北海道バレー構想は、千歳でラピダスによる半導体産業を、苫小牧で国際海底ケーブルを接続しての大型データセンターをそれぞれ展開。さらに札幌で通信ネットワーク拠点やデータ関連企業を、石狩で再生可能エネルギーを活用したデータセンターを集積するなど、各地の特徴を生かした産業集積で「北海道半導体センター」を形成する。
小池社長は「日本の次世代製品の開発発信基地にしたらどうだ、ということも考えている。真に世界に開かれた持続的に発展するまちづくりを推進したい」と意気込み、「北海道全体が元気になって、日本を押し上げていけたら」と強調。「メード・イン・北海道をこの地から全世界に展開したい」と打ち上げた。
鈴木直道知事も「デジタルや再エネを軸とした北海道バレー構想は、道としても思いは同じ」と説明。従来はデータセンターパーク構想として、苫小牧~石狩ラインで関連産業の集積を図るとしてきたが、「ラピダスの取り組みを核として北海道、日本を活性化する。今夏までにデジタル産業振興の方向性をまとめる」とした。
自然と調和した工場排水処理で厳しい基準
小池社長は「とにかくスピード。早く作ることを第一に考える」とスピード感重視で臨む姿勢。半導体製造は設計、回路を形成する「前工程」、半導体チップに切り出す「後工程」の三つに分かれているが、小池社長は「分業は効率が悪い」と指摘。「3工程を一緒にやる」とし、新たなビジネスモデル「RUMS(ラムス)」の名前で進めるとした。
製造工場は「新しいイノベーションを出すものづくりの場所」の意味で「IIM(イーム)」と名付ける。同社の清水敦男専務執行役員は「自然豊かな美々ワールドに立地する上で、重要な要素は自然とのマッチング」と強調。屋上まで緑化する斬新なデザインを示し、「今までの真四角の箱が並ぶ工場とは違う」と説明した。
また、清水氏は「環境に対する皆さまの意識、関心は非常に高い」と述べ、排水処理で厳しい基準を設ける姿勢。排水は工場内に設ける施設で浄化した上、千歳市の下水処理場に入れてさらに処理し、千歳川に放流する予定。「(排水基準は)法律、条例で決められた部分は満足する。地元自治体と協定を結び、さらに厳しいところで線を引く。二重三重の対策を取る」と理解を求めた。
従業員1000人規模地元高専から採用も
6月から整地など準備を進め、9月1日の起工式を検討中。工事はピークで、建設に約2000人、設備工事に約4000人が従事する予定。現場近くに2000人規模の仮設宿舎を設ける予定だが、施工する鹿島建設の阿部直樹建設計画工事事務所副所長は「それだけでは賄い切れない。周辺ホテルも利用させていただく」と説明。資材などを運搬する工事車両は、国道36号から美々ワールドに出入りするが、朝の通勤時間に集中しないよう、24時間体制で平準化する計画だ。
2025年4月から試作ラインを稼働し、27年初めに量産するスケジュール。操業時の従業員規模について小池社長は「技術者は500~600人規模で、従来のような技能員はほとんど考えていない。(従業員は)全部合わせると1000人規模」と説明。採用する人材としてAI(人工知能)やディープラーニングの習得を挙げ、「地元の大学、高専を含めて十分なトレーニングをされた方を採用したい」と展望した。
説明会に1400人 関心高く
説明会は同社の小池社長、東哲郎会長、提携先の米国IBMシニア・バイス・プレジデントのダリオ・ギル氏らが顔をそろえ、千歳市内外から約1400人が参加した。約1000人収容の大ホールでは入場しきれず、中ホール(約400人)をサテライト会場として開放し、注目度の高さを改めて裏付けた。東会長は「最先端の産業、技術を皆さまの絶大な協力で成長、発展させていき、世界に羽ばたく北海道にしたい」と力を込めた。
















