苫小牧市と北海道大学北方生物圏フィールド科学センター苫小牧研究林、札幌施設管理(札幌市)の3者は、苫小牧のおいしい水道水を安定供給していくための共同研究に乗り出す。市の高丘浄水場(高丘)が採用する「緩速ろ過方式」について、今後想定される気候変動に伴う課題などに対応する。市と同研究林が昨年12月に締結した地域活性化包括連携協定に基づくプロジェクトで、22日付で産学官の連携協定書を締結した。
緩速ろ過方式は川の水をろ過池にため、砂利層や微生物を繁殖させた層を経てきれいにする仕組み。薬品の使用を抑えられ、水道水の味が良くなるとし、高丘浄水場では勇払川と幌内川を水源に1964年の開設時から採用しているが地球温暖化が、水中の不純物を取り除く微生物の活動に悪影響を与えることが危惧されている。
市上下水道部の入谷核部長は「今の方式でおいしい水をつくり続けたいがろ過池の清掃は人力で、職員の高齢化や人材不足などの課題もある」と話す。
今後、同研究林は微生物の生態学を専門とする植竹淳准教授が中心となり、市が進めるろ過池での微生物調査の技術指導や解析をサポート。水道施設の維持管理業務を手掛ける札幌施設管理は水質測定機器の貸与、清掃ロボット開発などに協力する。今年度は現状把握の基礎調査を実施。調査結果を踏まえ、次年度以降、実証実験を行う。
札幌施設管理の田中芳章社長は、狭い敷地で多量の水を迅速に処理できる薬品を使った「急速ろ過」が普及しており、「緩速ろ過は国内の主要都市から消えつつある技術」と産学官連携の調査の意義を強調する。
水源の幌内川は研究林敷地内を通っており、同研究林の中村誠宏林長は「(協定が)森の恵みの一つに水源があることを市民に理解してもらう機会になれば」と期待。植竹准教授は「緩速ろ過を(見直す取り組みは)世界的にも最近始まったところ。学術的にも価値があると思う」と意欲を見せている。
苫小牧市の水道水は高丘、錦多峰の浄水場で1日平均約5万立方メートルを供給。水源の幌内川や勇払川、錦多峰川は安定した水量を保ち、国の全国河川水質調査で最高ランクの評価を獲得している。85年には旧厚生省の諮問機関「おいしい水研究会」による「水道水のおいしい都市」に選ばれ、2015年発売のペットボトル詰め「とまチョップ水」の販売数は22年度末までに50万本を超え、国際品質評価コンテスト「モンドセレクション」金賞に2度輝いている。
















