史上最年少で将棋の名人を奪取した藤井聡太七冠(20)の偉業を特別な思いで見詰める人がいる。日本将棋連盟苫小牧支部の会員で、苫小牧工業高等専門学校の事務職員箭子(やこ)涼太さん(26)=苫小牧市明徳町=。プロ棋士の養成機関「奨励会」で高校生の頃、小学生だった藤井七冠に勝利した経験を持つが「すご過ぎる。藤井君と呼んでいた頃から考えると、もう遠い存在」と感服している。
札幌市出身の箭子さんは小3の時に同市内の将棋教室に入り、中2の12月に同連盟の関西研修会、翌年3月に関西奨励会に入会。プロを目指し、奨励会には22歳まで所属した。
藤井七冠との対局は計4度あり、いずれも奨励会時代。初戦は箭子さんが高2、藤井七冠が小5の時で、約1年間の対戦成績は1勝3敗だった。箭子さんは4戦とも1級、藤井七冠は3、2、1級、初段と昇段し、中でも1級同士の平手戦(ハンディ無し)で臨んだ3度目の一戦が最も印象に残っているという。
箭子さんに有利な展開で、「残り(の持ち)時間も自分が半分以上もあったのに対し、藤井さんはほとんど無い状況。どう見ても自分が勝つと思われる内容だったが終盤、予測に反する指し手で逆転された」と振り返る。
4度目の対戦(平手戦)で初勝利を挙げたが「藤井さんは調子が悪かったようで、3局目の負けの方が悔しくて記憶に残っている」と打ち明ける。当時から落ち着きがあり、厳しい場面でも決して焦らず、「終盤の先の手を読むスピードがすごかった」と語る。
藤井七冠がプロ入りし、箭子さんが奨励会を辞める2019年までに会員として対局の記録係を務めたことも8回ほどあった。箭子さんは藤井七冠とは得意な戦法が違うというが、「指し手の派手さや考え方が面白く、次は何を指すのだろうと考えながら見ていた。対局後に感想を聞くこともできて勉強になった」と話す。
昨年、東京で行われた第35回アマチュア竜王戦で全国3位に輝いた箭子さん。会場には藤井七冠の姿もあり、大会後、箭子さんとの対戦エピソードを披露していたことを同戦の公式ツイッターで知り、「覚えてもらっているみたいでうれしかった」とほほ笑む。
前人未到の八冠独占を目指す藤井七冠に箭子さんは「これからも見ていて楽しい将棋を」とエール。「いつか自分もアマチュア将棋の全国大会で優勝したい」と力を込めた。



















