あの頃

あの頃

 スポーツ部に配属されてはや1年がたった。子どもから大人まで、懸命に汗を流す姿にいつも胸を打たれる。勝利にこぼれる満面の笑みや、プレーに納得がいかず涙をのむ姿―。選手たちが輝くその瞬間を、少しでも紙面上で形に残すべく努めている。

 十勝管内芽室町出身の記者は小学3年から6年間、紅一点で軟式野球に打ち込んでいた。チーム練習だけでなく、休日もランニングや素振りに明け暮れた。野球好きな父は練習相手を買って出てくれ、母はいつも試合の応援に来てくれた。

 少年野球の大会へ取材で赴くと、保護者たちはまぶしいほどの笑顔で、わが子へ声援を送っている。自分の両親も、こんな表情で試合を見ていたのだろうか。

 コラムを書きながら「野球でもっといいところ見せたかったな」と母に連絡した。返信は「十分頑張ってたでしょ」。十勝晴れの暑い日、泥だらけで白球を追い掛けていたあの頃の自分が、少し報われた気がした。(倉)

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