サラブレッドの生産、育成などを手掛ける社台コーポレーション(安平町、吉田照哉代表)は、馬専門の医療施設「社台ホースクリニック」を苫小牧市植苗に移転新築した。道内2例目の馬用CT装置を導入するなど体制を大幅強化し、加藤史樹所長は「世界的に活躍する社台グループの競走馬に負けないよう、われわれも世界的な医療技術を提供したい」と話している。
同クリニックは1992年、同美沢に設立。グループ関連の競走馬や繁殖馬はもちろん、日高、帯広などからも馬を受け入れ、手術実積は年間約700件を誇る。近年の利用増で旧施設が手狭になり、診療の効率化を目的に移転新築した。
新施設は鉄骨造り2階建て、延べ床面積は1809平方メートル。旧施設と比べて手術室は2室から4室に倍増した。内訳は、骨折など整形系の手術室が2室、開腹など緊急性のある手術に対応する1室、馬を立たせたまま施術できる立位手術室が1室。5月22日に診療を開始した。
また、施術前に馬を横に寝かせ、術後の麻酔から覚めるまで様子を見る倒馬・覚醒室を5室用意。馬を手術室まで運ぶクレーンも完備した。旧施設は倒馬室は1室だったため、加藤所長は「以前は混み合う中で急患が入ると手術までに時間がかかったが、スムーズに取り掛かれるようになった」と話す。
移転を機にCT装置を導入。昇降機に馬をあおむけに乗せて各部をスキャンできる他、CT前室と呼ばれる低層の隣室から、馬を立たせたまま頭部だけを診ることも可能にした。以前はCT検査が必要な場合、道内で唯一装置がある帯広畜産大まで車で運ばなければならず、加藤所長は「移動することなく、迅速に医療提供できる」と強調する。
その上で「診療や手術はあくまで治療のはじまり」と、経過観察する入院厩舎(きゅうしゃ)や待機馬房も旧施設の8室から18室と大幅に拡充。馬主が安心して預けられる環境も整え、獣医師7人、看護師6人体制でけがや病気で苦しむ馬たちと向き合い「全員馬が大好きで、何とかしてあげたいと思っている。一つ一つ的確に処置していく」と気持ちを新たにしている。



















