(2) 「活発でない」子に多い肥満 学業成績にも影響か

(2) 「活発でない」子に多い肥満 学業成績にも影響か
運動、歩行、日常生活での動きなどを合わせた「身体活動」は心身にとって大切だ

 運動不足でおなか回りが気になる…。これは大人に限ったことではありません。子どもでも身体を動かす機会が少ないと、心身の健康にさまざまな悪影響が及びます。

 外遊びや体育の授業、スポーツなどの運動だけでなく、徒歩での移動や、日常生活に伴う活動を含めて「身体活動」と言います。息が少し上がるくらいの身体活動を定期的に行うことで、健康度が増します。

 富山大による「富山スタディ」では、富山県内の小学4年生全1万438人を対象にした研究で、「とても活発だ」と回答した男子の中で肥満の割合は13・6%だと報告されています。「活発だ」とした中では18・2%、「あまり活発でない」では25・5%、「活発でない」では35・6%でした。活発でないと回答した子どもほど、肥満が多いことが分かります。女子でも同様の傾向がありました。

 心身の健康はもちろん、学力も気になるところです。私たちの研究グループは、7~10歳の小学生261人を対象に調査を実施しました。

 身体活動量が1日1時間以上、かつ余暇にテレビやスマートフォンを見る時間が同2時間未満の子どもは、身体活動量が1日1時間未満で、余暇のテレビやスマホが同2時間以上の子どもに比べ、1年後の学業成績が良い確率が約2・7倍に上ったと報告しています。

 この他にも、身体活動の不足は、体力、心血管代謝、骨、メンタルヘルスなどに悪影響を与えていると、国内外で報告されています。

 ちなみに、感染症を除いた死因では、喫煙と高血圧に続き、身体活動不足は第3位に位置しています。現在と将来の健康のために、ご自身の子どもや身近な子どもと一緒に身体を動かすことを、皆さんも考えてみませんか。(石井香織・早稲田大教授、イラストはカモシタハヤト)

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