「地獄のテント」で猛特訓 ラグビー日本代表 柔術家がタックル指導

ラグビー日本代表合宿で、テント小屋での練習を終えて引き揚げる選手ら=16日、千葉県浦安市

 9月に開幕するラグビーのワールドカップ(W杯)フランス大会に向け、準備を重ねている日本代表。千葉県浦安市での合宿では、グラウンドの片隅に白いテントが設置されている。フランカーのリーチ(BL東京)は、そこを「地獄」と呼ぶ。

 オーストラリア出身の柔術家で、13人制を中心にラグビーの指導経験もあるジョン・ドネヒュー氏をスポットコーチとして合宿に呼び寄せた。担当はタックル。FWとバックスが別々に行うテントでの特訓は公開されない。選手らによれば、はだしでマットに上がり、1時間にわたって水を飲む間もなくタックルを繰り返す。

 強豪との体格差を、技術と組織力でどう埋めるのか。長年、日本が向き合ってきたテーマだ。SO松田(埼玉)は「大きい選手がたくさんいる中、うまく、どう入るかというところを学んでいる」。これまで日本の低いタックルは対戦相手の脅威となってきたが、ドネヒュー氏は別のアプローチをする。腹の上辺りを目掛けてぶつかることを指示。ジャージーをつかむことなく、レスリングのように自分の力だけで倒すことを求めた。

 練習の合間に腰に手をやるなど、苦しそうなそぶりを見せる選手がいれば、全員に馬跳びの「罰メニュー」が科される。テントの中で気を休める時間はなく、CTB中村(東京SG)は「少しもスイッチを切れない。スキルも必要だし、集中力も含めてハード。たぶん、あの1時間を超えるものはない」。科学的なトレーニングが当たり前となった現在では、すっかり珍しくなった「猛特訓」。強豪を打ち砕くタックルを完成させるため、心身を鍛え上げていく。

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