27日まで行われた苫小牧市議会定例会の一般質問で、千歳市に進出する次世代半導体製造ラピダス(東京)に関する質問が集中した。登壇した23人中8人が取り上げ、経済波及効果や雇用などに期待する声、環境面や水資源の活用に対する疑問など、賛否両面で幅広く質疑した。市はラピダス進出を好機と捉え、同社従業員らの居住誘導、関連企業の誘致などに力を入れる方針を示した。
市内に従業員の居住誘導を
同社は苫小牧市に大型データセンター実現を想定した関連産業集積「北海道バレー構想」を打ち出すとあり、議員からも経済波及効果などを期待する声が目立った。
一般質問のトップバッター、山谷芳則氏(新緑)は、ラピダス進出の効果をただした。小名智明産業経済部長は「建設工事や関連産業の稼働、従業員の生活など」の効果を示し、「苫小牧工業高等専門学校の学生が地元にとどまり、道外流出を食い止める雇用先となれば」と強調した。
池田謙次氏(公明)は、同社から近い植苗地区や美沢地区の立地優位性を生かし、関連企業の従業員らの住居を用意するよう提案。小名部長は「苫小牧は通勤圏内」とアピールしつつ「苫小牧に居住を誘導できるよう、関係部署と連携していく」と答えた。
神山哲太郎氏(同)は、さらに苫小牧への移住・定住に向けた仕組みづくりを要望。町田雅人総合政策部長は「苫小牧を選んでいただくため、移住促進の取り組みが効果的となるよう努力したい」と力を込めた。
美々川への放流想定せず
一方、与野党を問わず、半導体工場の立地による環境への負荷、地元企業の雇用への悪影響などを懸念する声が上がった。
竹田秀泰氏(新緑)は、同社の工業用水が美々川に放流されないかを確認。小名部長は「量産ラインが整う2027年の本格稼働後、千歳市から『排水処理について美々川への放流は想定していない』と伺っている」と説明した。
橋本智子氏(民主クラブ)も、苫小牧地区の工業用水の使用も検討されている背景を踏まえ、ウトナイ湖への影響をただした。石黒幸人環境衛生部長は「工業用水は河川水を使用しているが、1日の最大供給能力は10万立方メートル。能力以内なら湿地帯に影響はない」と述べた。
桜井忠氏(会派市民)は、同社に人材が流れることで、地元企業の人材不足が加速する可能性を指摘。小名部長は「市内の立地企業で雇用確保や人材流出の懸念があることは認識している。影響がどの程度になるか、注視したい」と応じた。
圏域活性化へ官民で取り組み
このほか、牧田俊之氏(改革フォーラム)は、地元企業が参画したくても相談窓口がないことを指摘。小名部長は「7月をめどに設立の北海道新産業創造機構(仮称)が事務局となり、新しい組織を発足する。新組織がビジネスマッチングの場となることを期待している」と紹介した。
佐々木修司氏(民主クラブ)は、技術者の育成や確保について質問。小名部長は「高い知識と技術が必要で大きな課題」と説明し、「産学官の連携で、道内におけるデジタル人材の育成や確保に向け、議論が進められている」と述べた。
岩倉博文市長は質疑を通して「半導体はAI(人工知能)や自動運転など不可欠な技術。関心を持つ企業が多い」と地元の反応を示した上、「苫小牧圏の活性化にどうつなげるか、しっかりと官民で取り組む必要がある」と力を込めた。
















