苫CCS実証試験センターに熱視線 22年度見学過去最多258件 アジア圏からの視察が増加

苫小牧CCS実証試験センターの見学推移

 二酸化炭素(CO2)を分離、回収、貯留する技術「CCS」の実証試験を行った、日本CCS調査(東京)の苫小牧CCS実証試験センター(苫小牧市真砂町)が、国内外から熱視線を浴びている。国がCCSの事業化を目指す中、同センターの見学件数は2022年度、258件と過去最多を記録。国内からの見学は業種が多様化し、CCSを推進するアジア圏からの視察も増加している。

 同社は12年度から国の委託を受け、国内初の大規模プロジェクト、CCSの実証試験事業を展開。同センターで16年4月~19年11月、苫小牧沖の海底1000~1200メートルの地層に、CO2を目標通り30万トン貯留し、CCSが安全に実用化できる技術と立証した。今も漏出などに備えてモニタリングを継続しながら、知見を惜しみなく発信している。

 見学は、受け入れを始めた12年度の3件を皮切りに右肩上がり。CO2圧入を始める前の15年度に100件台に到達し、CO2の貯留を達成した19年度に206件を受け入れた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、20、21年度は受け入れを一時的に中止したが、感染状況の落ち着きとともに徐々に再開した。

 22年度は258件2075人の見学を受け入れた。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が21年11月に訪れるなど、著名人の相次ぐ視察が知名度向上につながったほか、経済産業省が30年までのCCS事業開始を目標に掲げたことも追い風となった。

 新型コロナウイルス感染拡大の防止策で、定員を従来の50人から24人に制限したため、人数は最多だった18年度の2276人、19年度の2168人に及ばないが、件数の大幅増により2000人台に乗せた。数年前はエンジニア関連が中心だったが、同社は「商社や金融、シンクタンク、CO2を多く排出する企業など、幅広い業種の見学が増えている」と話す。

 コロナ対策の水際対策緩和などにより、海外からの視察も398人と回復し、コロナ前の19年度401人とほぼ同水準。これまで欧米各国が中心だったが、最近は全体の7割近くがアジア圏からの視察。CCS事業を推し進めるタイ、インドネシアなどから受け入れているという。

 23年度は5月までに35件316人が訪れ、同社は「10月ごろまで予約はほぼ埋まっている」。6月には国がCCS支援対象7カ所を選び、道内では出光興産(東京)、北海道電力(札幌)、石油資源開発(東京)が苫小牧地域で進める事業を唯一選出。苫小牧のCCSはより注目度を高めており、同社は「見学者の安全を第一に考えながら、今後も有用な情報を提供したい」と意気込んでいる。

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