苫小牧市高丘の北海道大学苫小牧研究林で24~28日の5日間、道内外の研究者や学生ら総勢80人が、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を吸収する森林活動に関するデータを集めた。地球環境の激変を防ぎ、学術的観点から対策を探るプロジェクト「デジタルバイオスフェア」の一環。第一線で活躍中の研究者らが、それぞれの視点から土壌や植物の炭素量などを調べた。
CO2吸収に最適な自然環境を守る提案へ新たな知見を得よう―と全国の研究者らが2021年に始めたプロジェクト。年1回、集まって集中的に観測、調査しており、昨年は東京湾で実施。今回の調査対象は森林で、約2700ヘクタールと広大で起伏の少ない研究環境を有し、空港からのアクセスも良い苫小牧研究林が選ばれた。
東京大や京都大、東北大、国立環境研究所、JAXA(宇宙航空研究開発機構)など約20機関の専門家のほか、学生ら研究者の卵も20人ほど参加。ドローン(小型無人飛行機)を投入し光合成による植物のCO2吸収速度を測る実験をしたり、ミズナラ1本を切り倒し葉、幹、根といった部位ごとに炭素量などのデータを集める調査も行った。
「異なる分野の研究者といろんな話ができるので、こうした機会を大切にしている」と東邦大学生命圏環境科学科の安立美奈子准教授(48)。九州大の教授との会話から、土壌の炭素吸収機能に関連した新しい共同研究ができそうだと喜んでいた。
東邦大大学院生の保原雄大さん(23)は「(苫小牧研究林は)研究フィールドが広く、うらやましい」と話した。
同プロジェクトの代表で東京大学大学院農学生命科学研究科の伊藤昭彦教授は「同じ場所、同じ期間にいろんな観測データを取れるのはとても貴重」と意義を強調。「今後のデータ分析も重要で、地球環境を激変から守る提言につなげたい」と述べた。
同プロジェクトは環境科学、生態学、土壌学、海洋学、気象学、観測工学などを専門とする大学教授や研究機関のスタッフが参画。21年度から5カ年で自然環境に関連した広範囲なデータを収集、分析し、環境変化に対する生物の動きを見極める高精度なシミュレーションモデル構築を目指す。
















