熊本学園大学名誉教授の宮里六郎編「里山の保育」がひとなる書房から刊行された。宮里氏は2012年に教え子たちを引率して苫小牧市内の沼ノ端保育園を訪れるなど全国各地の保育を研究してきた。保育関係者だけでなく地域課題に取り組んでいる人たちへの幅広い示唆に富んだ一冊となっている。
「過疎地が輝くもう一つの保育」が副題。裏表紙には「自然も人間も共生するSDGs(持続可能な開発目標)時代を生きる人々の感性的土台を育む」とある。
書名と副題の通り、里山とは過疎地のこと。課題が山積し先が見えない印象の強い過疎地という言葉に対し、里山には温かみ、自然との共生といったイメージも広がる。前半は里山で活動する5人の保育士からの実践報告。地域の高齢者との交流など保育を通じ過疎地の魅力、可能性を次々と見いだし生かしていく事例にあふれている。
後半が宮里氏による過疎地の里山保育論。異年齢保育、食農保育、自然との共生、地域との交流からの学びなどを通じ、ふるさと、安心、幸せ、生きていく知恵などを育てる里山保育実践構造を提示する。
東京だけが日本じゃない、地方こそが日本だという宮里氏。都市的保育論に対する里山保育論が必要だとの思いが出版の原動力になったという。
A5判127ページ、本体1400円。
















