関東大震災余波は王子苫小牧工場にも 中央図書館に資料

関東大震災余波は王子苫小牧工場にも 中央図書館に資料
関東大震災が王子製紙苫小牧工場に及ぼした影響がうかがえる資料

 関東大震災から1日で100年―。苫小牧市立中央図書館に、同震災が王子製紙苫小牧工場(当時苫小牧分社)の操業や、全国の新聞発行に与えた影響を今に伝える資料がある。震災で機能がまひした王子製紙本社(東京)が、営業窓口の一部を同工場に移したことを知らせる新聞広告や、道庁による震災影響調査への工場の回答書類で当時、地方にまで及んだ震災の余波を垣間見ることができる。

 資料は1923(大正12)年9月18、23日に地方新聞「北海タイムス」に掲載された王子製紙苫小牧工場による「謹告(おわび広告)」と、同年12月18日、同工場が道庁産業部向けに書いた報告書。それぞれ市立中央図書館の資料室に保管されている。

 「謹告」は、同紙1面の6分の1ほどのスペースを割いて掲載。震災で本社が焼失し、帝国ホテルに仮事務所を開設したが通信機関が復旧せず、新聞用紙と中質の一般印刷用紙「更紙(さらし)」、カイコを飼う籠に敷く「蚕座紙(さんざし)」の注文をしばらく苫小牧工場で受け付ける旨の告知だ。

 震災から3カ月ほどたった同年12月に作成された報告書は、B5判よりも一回り小さい和紙4枚。原料の需給や操業への影響について題目ごとに記されている。

 ▽震災後、材木の需要が高まり争奪戦が起きているが同社については用材確保に大きな影響は出ていない▽東京の新聞社は発行停止に追い込まれたが、大阪や地方の新聞は発行部数が激増した▽金融機関の混乱で震災当初は資金繰りが厳しく、予定していた工事を中止せざるを得なかった―といった内容だ。

 この頃、苫小牧工場では製紙用材の化学処理のための製薬塔が竣工(しゅんこう)時期を迎えており、工事を請け負った業者にも影響が及んだと推測される。

 これらの資料について、「同工場が創業後10年ほどですでに(全社の中で)大きな役割を担っていたことが分かる」と、市美術博物館歴史担当の佐藤麻莉学芸員。苫小牧の郷土史に詳しい一耕社の新沼友啓代表は「最新情報を新聞で得ていた地方の様子や、木材資源の争奪戦といった当時の混乱ぶりがうかがえる」と語る。

 報告書は、同図書館2階郷土資料室の王子製紙古書データベース(iPad〈アイパッド〉)で「関東大震災」と検索すれば閲覧可能。新聞広告についても、同室窓口で申し出れば現物を見ることができる。

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