知床半島沖で起きた観光船「KAZU 1(カズワン)」の沈没事故で、運輸安全委員会が運航会社「知床遊覧船」(オホーツク管内斜里町)の安全管理や国の検査体制に不備があったとする最終調査報告書を公表したことを受け、乗客家族からは7日、「思っていた通り」と受け止める意見が相次いだ。「会社の責任がはっきりした」として、桂田精一社長(60)の責任追及に期待を寄せる声も上がった。
報告書は、船首甲板部のハッチからの浸水を沈没の直接的な原因とした上で、運航会社の人材不足や船体・通信設備などの保守整備が不十分だったと指摘。北海道運輸局などの監査・検査の実効性にも問題があったと結論付けた。
乗船して行方不明となった小柳宝大さんの父親(64)は「どこかで歯止めをかけられていたら事故は起きなかった」と憤った。乗客の家族らは「運航会社だけでなく国にも責任がある」と訴えており、息子が行方不明となっている道内の男性(51)は「思っていた通りの結果。会社や国にも問題があったということが世の中に伝わるので、よかった」と話した。
事故で家族を亡くした男性も「事故原因が結論付けられたことに安心した」と評価。その上で再発防止策に関し「実効性を持たせて」と訴えた。
海上保安庁は桂田社長について、業務上過失致死容疑などで捜査を進めている。乗客家族の中には「社長の責任もはっきりしたので前に進むのでは」と捜査の進展を期待する人もいた。
「出航中止の判断」焦点 識者「高度な能力いらない」 桂田社長捜査の海保
観光船「KAZU 1(カズワン)」の沈没事故を巡り、海上保安庁は業務上過失致死容疑で運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(60)を捜査している。出航を止めなかった社長に刑事責任を問えるかが焦点で、運輸安全委員会の最終報告書は「出航してはならなかった」と指摘。船長が死亡し、出航前の状況確認は困難となっているが、識者は「出航中止の判断は、社長に高度な能力がなくても可能だ」と話す。
報告書は、沈没原因は不具合があった船首甲板部のハッチからの浸水とし、事故当日は運航中止基準を超える気象・海象になることが明らかで、「出航してはならなかった」と分析した。
桂田社長は運輸安全委の調査に、出航前の状況を「船長から『(気象・海象が)悪くなったら帰る』と聞いた」と説明。「出航は船長判断でよいと思った」とも口述した。
桂田社長は、同社で運航管理や安全統括を担う責任者だったが、報告書は「船に関する知識も経験もなく、船長を援助する能力もない」と指摘。名目だけの責任者だったとした。
元検事の落合洋司弁護士は、運航管理者などの立場に着目し、「桂田社長が出航判断に責任を負うべきことは法令上は明らか。天気予報や同業他社の動向を確認するなど、出航中止の判断に高度な能力は必要ない」と指摘した。
沈没原因とされたハッチの不具合は、国の代行機関が事故3日前の検査で見逃していたが、落合氏は「桂田社長も日頃から船体などを安全に保つ責任について追及される可能性がある」と指摘。「出航判断とハッチの保守整備での過失による立件は十分現実性がある」と話した。
















