出光興産北海道製油所(苫小牧市真砂町)は24日、操業開始から50周年の節目を迎える。1973年に北海道、東北地方に石油製品を供給する拠点として事業を始め、市民の暮らしを力強く支えてきた。現在は本道唯一の製油所として果たす責任も増す一方、2050年の脱炭素社会実現に向けて転換期を迎える。山岸孝司所長(60)にこの50年と今後の展望を聞いた。
―50周年を迎えて。
「ひとえに苫小牧市、北海道を中心とした地域の皆さま、日々の安全安定操業を支えてくださる協力企業など、多くの方々のご厚情とご支援のたまもの。製油所を代表して心から感謝したい。節目はあくまでも一瞬、一つの区切りにすぎない。エネルギーの安定供給について責任を果たし続けることが大切だ」
―所長自身、道製油所の勤務が計12年間。
「1999年5月に現場職員として道製油所に着任してから計4回、一番長く働いている場所。あっという間とは感じられず、本当に濃い時間を過ごした。
原油価格の乱高下が激しい時代も経験したが、石油産業としては経営上の大きなリスク。その中でしっかり収益を上げなければならず、たくさん苦労をした。
自然災害や火災など保安事故もあった。(2000年の火災事故に続き)02年4月に石油精製設備で爆発火災を、翌03年に十勝沖地震に起因する2度のタンク火災を起こし、地域の皆さまに大変な不安を与えた。
当然、方々からお叱りを受けたが、市内の飲食店や買い物に出かけた先で『応援しているから頑張って』『くじけちゃだめよ』との声を頂いた。地域に恩返しをしなければいけない、と強く思わされた瞬間だった」
―苫小牧地域への思いは。
「森久初代所長が苫小牧民報の竣工(しゅんこう)記念特集号で『地域社会の一員として共に栄えるという理想を実現させる』と記した。苫小牧市民と共に栄える精神は、時を経ても決して変わらない。構内のサクラ並木公開や児童向け自然教室の開催、今年は4年ぶり復活のとまこまい港まつり市民おどりに所員100人以上が参加した」
―次世代エネルギーへ挑戦している。
「北日本唯一の製油所として石油エネルギーを安定供給しているが、50年のカーボンニュートラル(CN、温室効果ガスの排出ゼロ)実現に向け現状のままではいけない。人々の生活や産業を支え続けるため、時代に合ったエネルギーを供給しなければいけない。
一つ形になったのが二酸化炭素(CO2)を分離、回収、貯留する技術「CCS」。苫小牧地域をフィールドに他社と共同で進めてきた事業が、7月にエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)から業務委託を受けた。30年までに年間150万トンの貯留が目標。事業化に向けたデザインを策定中で、来年度以降の本格的な建設に向けたステージに移りたい。
化石燃料から次世代エネルギーの移行期間は必ずある。そこにCO2と水素を原材料とする合成燃料が必要になるはず。大規模な再生可能エネルギー源、クリーン水素の製造と大きな課題はある。多くの関係者と議論を重ね、実現を目指して進める」
―次の100年を見据えて。
「私たちの最大の強みは大量の危険物を取り扱うエネルギー供給者であること。安全や環境、設備管理などたくさんのノウハウを持っている。この知識をフル活用し、足元の石油から将来のCNエネルギーの安定供給を担い続けたい。企業理念は『真に働く』。地域社会の一員として、共に栄えるため必死に考え、行動していきたい」
















