半導体拠点、建設ラッシュ 国産化で経済安保確立へ 千歳市にラピダス

 半導体工場の建設が国内で活発化している。新型コロナ禍で供給網が混乱し、自動車産業が減産に追い込まれるなどした反省から、国内で安定生産できる体制を整えたい政府の意向が背景にある。デジタル革命の進展で需要拡大が確実な半導体は、経済安全保障上の重要物資となっており、関連産業を支える人材を産官学の連携で育成する取り組みも始まっている。

 ▽台湾集中にリスク

 半導体工場の国内誘致が進む背景には、台湾有事への懸念も横たわる。台湾には、電子機器の頭脳として論理演算を行う「ロジック半導体」の生産拠点が集中し、最先端製品の6割は台湾製。有事があれば、その供給に大きな影響が出るのは避けられない。

 米欧では政府が巨額の予算を投入し、受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)など有力メーカーの誘致を積極化している。日本政府も2021、22両年度で計2兆円の予算を確保した。

 米国でも工場建設を進めるTSMCは、熊本県菊陽町進出を決め、ソニーグループ、デンソーと共同で回路線幅10~20ナ  ノメートル(ナノは10億分の1)のロジック半導体工場を建設中。日本政府から最大4760億円の補助を受ける。第2工場も建設する方針だ。

 次世代半導体の国産化を目指して昨年誕生したラピダスは、米IBMの協力を得て2ナ  ノのロジック半導体の量産を計画する。9月に千歳市で工場の建設を始めた。岸田文雄首相は起工式にビデオメッセージを寄せ、「政府として年末に向けて予算、税制、規制のあらゆる面で、世界に伍(ご)して競争できる投資支援パッケージを作る」と支援を約束した。

 半導体拠点の整備は九州、北海道以外でも進む。三重県でキオクシア(東京)と米ウエスタンデジタルがフラッシュメモリーの製造棟を稼働させたほか、広島県では米マイクロン・テクノロジーが最先端メモリーの量産を開始し、新規投資も表明している。日本は半導体の材料・製造装置メーカーに加え、ユーザーとなる自動車メーカーなども多く、拠点の拡充が引き続き見込まれる。

 ▽専門課程で実践教育

 課題となっているのが半導体産業を支える人材の不足だ。日本は半導体売上高の世界シェアがかつての5割から1割に落ち、関連人材も1999年からの20年間で半分以下の6万人に減った。

 ラピダスには日本の半導体が世界をリードした時代を知る人材が集結したが、従業員の平均年齢は50歳。同社の東哲郎会長は半導体産業の復興へ「中長期的な人材育成が重要。(魅力的な就職先となる)超一流の企業群にする必要がある」と話す。

 人材育成へ大学や高等専門学校も動きだした。東北、中国、九州などでは、経済産業省を中心に産官学の連携で実践的な教育を行うコンソーシアムが発足。地元の大学や高専が専門課程を新設し、企業の出前授業を取り入れるなどしている。東京工業大学の大嶋洋一副学長は「東京に多い半導体の専門家が地方で活躍できる環境づくりが重要になる」と指摘している。

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