2 心の竹ひごに傷 ストレスの蓄積でダメージ

2 心の竹ひごに傷 ストレスの蓄積でダメージ
心の竹ひごのしなりが増し過ぎると傷が生じる

 ストレスを見たことはありますか? 竹ひごを両手で持ち、力を加えると、竹ひごがしなります。竹ひごが人の心だとすると、加えた力がストレスの原因「ストレッサー」、しなりは「ストレス反応」と言います。

 釣りざおに魚が掛かっている場面を想像してみましょう。魚はストレッサーであり、さおのしなりがストレス反応です。

 釣りの際、魚以外にごみや古タイヤなどが引っ掛かってしまうと、糸やさおに負荷がかかり損傷が生じます。一方、糸やさおを丈夫にすれば、より大きな獲物を手に入れることも可能になります。ストレスマネジメントとは、さおを傷めずに、欲しい魚を釣り上げることです。

 では、ストレスがたまるのを見たことはありますか? 通勤通学や仕事、学業、そして人間関係などで、その日の終わりに、心の竹ひごがしなっていたとします。翌朝までに竹ひごが真っすぐに戻れば、ストレスはたまっていないことになります。

 しかし、朝までにしなりを元に戻せないと、竹ひごのしなりは翌日さらに増します。これを繰り返すと竹ひごは一層しなっていきます。この状態はストレスがたまっていると言えるでしょう。そこで適切な行動を取らないとストレスはますますたまり、やがて竹ひごに傷が生じます。この状態を「無理」と呼びます。ストレスによってダメージが生じた段階です。竹ひごの傷が深まった段階が、治療を要する「臨床状態」です。

 ストレスの定義は複数ありますが、この連載では、外部からの刺激を「ストレッサー」、刺激への心身の反応を「ストレス反応」、ストレッサーやストレス反応によって心身が影響を受けた状態を「ストレス」と定義します。ストレスマネジメントに取り組みやすい考え方だからです。

(田中純・心理教育カウンセラー、イラストはカモシタハヤト)

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