今年86歳で亡くなった苫小牧市大成町の西洋工芸作家山谷数子さんを悼み、教え子が「遺作展」を計画している。市総合体育館(末広町)で28、29両日に開催される市民文化祭総合展示発表会場の一角に、レースを使って磁器人形を美しく飾り立てる「レースドール」やダチョウなどの卵の殻に華麗な装飾を施した「エッグアート」、粘土細工で草花を表現した「パンフラワー」といった山谷さんの力作約30点を並べる。
遺作展を企画した川沿町の鈴木桂子さん(71)は30代の頃、山谷さんと出会った。山谷さんは当時、レースドール作家として札幌市内にスタジオを構え、百貨店やギャラリーで個展を重ね、各地で教室を開いていた。
レースドール制作に励みながら球体関節人形やエッグアート、パンフラワーの技術研さんを重ね、各教室で生徒たちにそれらの魅力や技も伝えた。
鈴木さんは生徒の1人で、山谷さんが2012年にすべての教室を閉鎖し約40年の指導者人生から退いた後も、交流を続けた。
昨年11月には山谷さんからもらった着物生地で今年の干支(えと)にちなんだウサギの人形を鈴木さんが手作りし、直接届けた。今年に入ってからも電話で会話していたが、4月に山谷さんが心筋梗塞で亡くなったことを知った。
訃報から約1週間後に山谷さんの自宅を弔問した際、室内に置かれた多くの作品が目に入った。すぐに遺作展開催を思い立ち家族に伝えると、「母の供養になる」と快諾を得た。
作品は色がくすんでいたり、金具が壊れていたりと劣化が目立ったが、鈴木さんが5カ月ほどかけて1点ずつ補修。筆でほこりを払い、壊れた金具を交換した。色合いがくすんだ部分については再塗装し、ニスを塗った。「先生とのことを思い返しながら作業ができた。想像力豊かな先生のすごさを改めて感じた」と笑顔。「こんなに素晴らしい作品を手掛けた人が、苫小牧にいたことを知ってほしい」と語る。
遺作展ではもう1人の教え子で、エッグアートを手掛ける錦岡の中村百合子さん(75)にも出品を依頼。鈴木さんの作品も合わせた「師弟共演」も検討している。繊細な技巧が光る力作の展示で、市民に西洋工芸の世界を身近に感じてもらいたい考えだ。
















