渡辺淳一の自伝的小説「阿寒に果つ」のモデルとされる早世の画家加清(かせい)純子(1933~52年)の油彩画「H子」を、苫小牧市木場町の額縁・絵画専門店苫美堂の加藤和東(かずとも)さん(80)が今月、札幌市の北海道立文学館(中央区中島公園)に寄贈した。現存する加清の作品は少なく、加藤さんは手元に置いて大切にしてきたが、高齢となり次世代への継承を考え手放すことを決めたという。同館は寄贈を受けた記念として28日~4月6日、加清の作品展を開催し、「H子」を公開する。
加清は札幌市出身。戦後間もない中学生の頃から絵画の才能を開花させ、15歳で道展に初入選。その後も道展や中央の公募展で入選を重ね、美術界で「天才少女画家」と評された。独自の感性が光る小説やエッセーなども発表し、注目を集めたが、高校卒業間際の52年1月に失踪。同年4月に遺体が発見された。
加藤さんが「H子」を手に入れたのは約30年前。49年に描かれたとみられる20号(73センチ×61センチ)の油彩画で、この時期の作品としては大型のもの。毛足の長い襟巻きをまとった少女が丁寧なタッチで描かれており、隣のクラスの女子生徒をモデルにしたと言われている。「素晴らしい作品」と一目見て気に入り、大切に保管してきたという。
その後、2019年と22年、同館が加清の作品展を開催。加藤さんも「たくさんの人に作品を知ってもらえる機会」と考え、同館の依頼に応じて「H子」を貸し出した。この時のやりとりを通じて、加清純子という画家がいたことを大切に伝え続けてきた同館の姿勢に共感したという。
同館によると、加清の作品は同館が所蔵する30点と道内美術館などの4点ほどしか所在が分からず、「本当に貴重な作品を寄せていただき、大変ありがたい」と感謝する。28日から、「H子」と既に収蔵している作品計15点を常設展示室で公開する。
加藤さんは「文学館の皆さんに大切に扱ってもらい、こちらこそ感謝している。ぜひこの機会に多くの人に見てもらえれば」と話している。
開館時間は午前9時半~午後5時。月曜休館。観覧料は一般500円、高校・大学生250円、中学生以下と65歳以上無料。
問い合わせは同館 電話011(511)7655。



















