苫小牧市など道内5カ所で身体障害、発達障害などの子どもを対象とした水泳療育を手掛けるNPO法人ほっかいどうタンポポが昨年11月、設立30年周年を迎えた。子どもたちの心身の成長を支え、社会の中で生き抜く力を育む場に―と苫小牧脳神経外科(市光洋町)の小児脳神経外科医高橋義男氏の提唱で始まった活動。今月、白老町で30周年記念の水泳療育行事があり、全道各地の会員が集結し、交流を深めた。
「大人は子どもを抱き、左右にゆっくり揺らしてあげてください」「プールサイドにつかまり、股関節を開いてみましょう」
今月16日、白老町民プールで行われた30周年記念の水泳療育イベントには、約20組の親子が参加した。
同会の活動に協力する子どもの発達に詳しい水泳コーチの呼び掛けで、関節を伸ばすストレッチャーや筋肉の緊張をほぐすストレッチを中心とした療育プログラムが次々と繰り広げられた。
参加者は水中で伸び伸びと体を動かしながら歓声を上げ、車いすを利用する子どももボランティアスタッフらの手助けで水の中に入るとゆったりとした表情を浮かべていた。
同会は、地上よりも浮力で体を動かしやすい水中での療育を通じ、子どもたちの身体機能を向上させるとともに、家族以外の人たちと関わる中で社会性を育むことを目的に活動している。
高橋医師が旧道立小児総合保健センター(小樽市)で勤務していた時、退院後の子どもたちに訓練の場を提供したい-と、1992年10月に札幌市で立ち上げた「スワンクラブ」が始まり。翌年11月、「ほっかいどうタンポポ」を設立。函館や小樽、苫小牧などにも活動拠点を広げ、各地で水泳療育を展開してきた。
乗馬療育や自然体験学習、スポーツ大会、グアム・ハワイへの海外旅行など障害のある子どもたちがさまざまなことを体験したり、挑戦したりする機会を提供している。
この日のイベントは、30年の活動を振り返りつつ、会が目指す療育を再確認する目的で企画。水泳療育後は登別市の温泉ホテルで記念式典が行われた。
式典の中で、高橋医師は「30年前はハンディキャップのある子は『助からない』と親も医療従事者も諦めており、療育の場など地域にはなかった」と指摘。そんな時代下でも子どもの可能性を信じ、潜在能力と社会への適応力を伸ばす場として、ほっかいどうタンポポを立ち上げたと説いた。
アペール症候群と呼ばれる難病で、20回を超える手術を経験した加藤剛さん(26)=市有珠の沢町=は「2歳の頃から母親に連れられて通い始めた。泳げるようになったという体の成長だけではなく、どんなこともまずやってみようという強い心が育った」と振り返る。
軟骨無形性症で、低身長のハンディキャップを抱える札幌市出身の会員冨樫航太郎さん(25)=東京都在住=は、パラ水泳の元日本代表選手。冨樫さんは「水泳を通してたくさんの出会いに恵まれ、今の自分がある。水泳療育は自分の原点」と語る。
高橋医師は「未踏の中を歩んできたので子どもたちがどのような大人になるのかは未知数だが努力を続けてきた子どもたちは、きっと次の社会の力になってくれるはず」と期待を込めた。
















