宮沢賢治が来苫100年 来月各所で記念催し 苫小牧

1925(大正14)年の駅前通りと富士館(右)=斎藤征義と賢治を語る会提供

 詩人で童話作家の宮沢賢治が苫小牧を訪れてから今年で100年となる。滞在した5月21、22の両日を前に、市民有志らが市内でさまざまな記念イベントを計画しており、苫小牧で着想を得たとされる詩や、賢治の世界観を市民に語り継ぐ契機となりそうだ。

 37歳で早世するまで、童話「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」など数々の名作を残した賢治が来苫したのは1924(大正13)年5月21日。当時は岩手・花巻農学校の教員で修学旅行を引率し、王子製紙苫小牧工場を見学した。苫小牧の駅前通りにあった旅館「富士館」に宿泊。そこから深夜、前浜まで散歩し、目の当たりにした光景を詩「海鳴り」「牛」にしたためたとされる。

 記念イベントは、5月6日にファッションメールプラザギャラリー(表町)で開幕する「宮沢賢治をアートする2024」が皮切り。苫小牧に関連した文化芸術を発信する団体「メディアまちっくす」(大石和美代表)の主催で、30日まで日本画家船越大祐氏の水彩画や、平取町在住の版画家こだまみわこ氏の版画など賢治作品を題材にした約30点を展示する。

 同18日午前10時からは、市民有志でつくる「賢治の道を歩く会」(田中弘美代表)主催の「百年目の賢治ウォーク」。丸山伸也事務局長の案内でJR苫小牧駅南口から、富士館跡地などを経て、旭町の賢治詩碑まで歩く。

 同午後1時半からは、妙見寺(音羽町)内の「斎藤征義記念 宮沢賢治ライブラリ『虔十庵(けんじゅうあん)』」で同寺主催の講演会「賢治が歩いた苫小牧」がある。第1部は札幌新陽高校教諭の髙橋励起氏による基調講演「賢治に学ぶ、未来の教育」、第2部では、賢治と苫小牧について参加者と意見交換する。

 同19日午後1時半からはとまこまい元気ホール(表町)で、「斎藤征義と賢治を語る会」(丸山伸也代表)が「宮沢賢治よる学術講演」を開催。函館で編集工房かぜまち舎を主宰するライター・編集者中川大介氏が「賢治と北海道」と題し講演するほか、朗読サークル響所属の秋田美枝子氏が「よだかの星」を朗読、シンガーソングライターかんばやしまなぶさんが宮沢賢治の詩「牛」を歌う。

 20、21両日は池坊苫小牧支部田中光琳社中が、苫小牧信用金庫本店2階で「宮沢賢治来苫百年記念花展」を実施。賢治が愛した植物をテーマに百年前の苫小牧駅前の情景を花展で再現する。

 市内での賢治に関するイベント開催が本格化したのは2003年、苫小牧のまちづくりを考える会ゆうべあ(大石和美代表)による来苫記念行事実施がきっかけ。賢治作品に心酔する市民らが中心となって翌04年には来苫80周年記念事業を展開した。かたちを変えながら毎年この時期、賢治の愛好者や、賢治ゆかりの地であることを地域の活性化に生かそうという市民グループなどによる多彩な催しが繰り広げられている。

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