試合は0―0で八回を迎えた。勝機を逃さなかったのは、それまでほぼチャンスのなかった日本ハム。郡司の適時打で1点を奪い、そのまま逃げ切った。試合後の新庄監督は「しびれたねえ、しびれた」。開口一番で本音が出た。
八回2死二塁で打席に立った郡司。「僕はチャンスで打つのが係。打たないと、自分が出ている意味がない」。狙い通りに初球のフォークをはじき返すと、打球はしぶとく三遊間を抜けて左前へ。26歳は塁上で右拳を高々と突き上げた。
均衡を破る直前の八回表は、マーフィーがテンポ良く3人で抑えて流れをつくった。1点リードで九回のマウンドに上がった守護神の田中正も、きっちりセーブ。好調のチームを支える勝負強さが、この日は終盤に凝縮された。
新庄監督が就任してからの2年間は一度も貯金をつくったことがなかったが、今季はこの試合で四つに。「今はいい順位にいるが、まだまだ安心することなく上を目指していく」とは郡司。選手が発する言葉も頼もしくなってきた。














