千歳市モラップの支笏湖で3日、カヌーをこいでいたとみられる苫小牧の男性が水中に転落し意識不明の重体となる事故が発生したのを受け、地元の観光関係者でつくる一般社団法人「国立公園支笏湖運営協議会」は、湖の利用方法についてまとめた独自の「支笏湖ルール」を再検証する。夏も水温が低いといった湖の特性を踏まえ、適正利用に向けた13項目の規定をまとめた内容。2022年4月に運用を開始したが同湖での水難事故は後を絶たず、安全対策を練り直す必要性が浮き彫りとなっている。
4日、千歳市支笏湖温泉地区の支笏湖第5駐車場。ボードの上でパドルをこいで水面を進む「SUP(サップ)」をしに留萌市から夫婦で訪れた男性(42)は、同駐車場で環境保全協力金500円を支払い、水辺でのサップを満喫した。「きのうの事故は気になったが、天気や風を確認して来た。水面がきれいで、とても良かった」と笑顔を見せた。
この日の湖面は波が穏やかでカヤックやカヌー、スワンボートの利用者らで終日にぎわいを見せていた。
同駐車場は、環境省の再整備工事を経て1日に運用を開始。環境保全や利用者の安全確保を目的に協力金制度が導入された。管理業務を受託する同協議会は、水辺利用者に「支笏湖ルール」の一読を促し、口頭で湖の危険性も伝えているが「ルールはまだ知られていない」(事務局)との実感を打ち明ける。
規制は当初、温泉街周辺の水面利用者向けのものだったが22年3月、千歳市内の男女2人が乗っていたカヌーが転覆し、いずれも死亡する事故が発生。22年度に環境省の支援を受け、湖全体にまで対象を拡大した「支笏湖ルール」の運用を始めた経緯がある。
支笏湖は、夏場も水温が低い上、地形的に水深が急に深くなっていたり、天候によって波が立ちやすくなったりと危険度が高い。このため、同ルールはカヌーなどに乗る際、ライフジャケット着用を徹底するよう強調。出艇可能場所を湖畔のキャンプ場や温泉街など4カ所に絞っている。湖の場所によって風や波の状況が異なるため、目的地の天候チェックなども求めているが同会事務局は「強制力はないので、最終的には利用者の自己責任になる」と指摘する。
今回の事故が発生した3日、千歳市には強風注意報が出され、支笏湖畔では最大瞬間風速15・8メートルを観測。地元の遊覧船運航会社やカヌーガイドといった「アクティビティ業者」は、湖に出るのを見合わせていた。
同会の山田勝晴会長は「とても魅力的な湖だが、自然の中で遊ぶことは危険とも隣り合わせ。利用者が増える中、安全対策を見直したい」と話している。
















