赤間、どん底から堂々の銀

赤間、どん底から堂々の銀
女子ストリート決勝で演技する赤間凛音選手=28日、パリ(時事)

 2位で迎えたベストトリックの5本目。一発に懸けた赤間が挑んだ大技は、勢い余って着地に失敗。決まっていれば順位は変わっていたかもしれない。初の五輪は銀。「メダルは夢だったのでうれしいけど、やっぱり金が取りたかった」。15歳の率直な思いだった。

 決勝はベストトリック1本目で92点台のハイスコア。途中までトップにつけ、金も見えていた。だが、1本ごとに大きく順位が入れ替わるのがストリート種目の醍醐味(だいごみ)であり難しさ。ハイレベルな戦いで吉沢に一歩届かず、それをより痛感した。

 ここまでは長くて、苦しかった。昨夏に右の鎖骨と骨盤を骨折。松葉づえをつき、全治5~6カ月の診断を聞いて絶句した。切れ目なく続く五輪予選レースに出られなければ、夢舞台が遠のく。「諦めたほうがいいんじゃないか」。心身とも、どん底にいた。

 リハビリが順調に進んだのは、周囲のサポートがあってこそ。母親は食生活を根本から見直し、必要な治療器具を買いそろえた。驚異的な早さで回復し、昨年11月には大会で滑れるまでに。「諦めなくてよかった」と感慨を込める。

 出場がかなわなかった東京五輪から3年。海外の大会に参加し始めた当初は緊張することも多かったが、ひのき舞台に立ったこの日は、堂々とした滑りで会場を何度も沸かせた。「次の五輪では、金メダルを取れるように頑張りたい」。4年後の雪辱を誓った。

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