なかなか現実を受け入れられなかった。柔道女子57キロ級の舟久保は銅メダルという結果に「悔しかった。自分が情けなくて」。声を詰まらせた。
準々決勝で地元フランスのシシケに完敗した。開始直後の足技で崩され、一本負け。「徹底して準備してきたのに何もできずに終わった。(敵地の)空気にのまれていないし、浮足だってもいなかった」。何とか立て直してメダルを手にしたが、後悔ばかりが残った。
25歳で立った初めての大舞台。高卒で名門の三井住友海上に入り、稽古で何度も先輩たちの壁にはね返されて心が折れそうになりながら「見返してやる」との思いを秘め、地力を蓄えてきた。
所属の先輩で東京五輪金メダルの新井千鶴さんは舟久保を「一個一個、積み上げて丁寧にやっていく性格」と評する。だからこそ「パリは彼女の集大成ではなく通過点」。本当の開花は、まだ先にあると期待する。
舟久保は「今のままではチャンピオンにはなれないと思うので、もっと強くなりたい」。自他共に認める「不器用な努力家」は、4年後を見据えている。

















