スケートボードは29日、男子ストリートが行われ、堀米雄斗(三井住友DSアセットマネジメント)が連覇を果たした。白井空良(ムラサキスポーツ)は4位。14歳の小野寺吟雲は予選14位で、上位8人による決勝に進めなかった。
あまりにドラマチックな幕切れに、パリ中心部のコンコルド広場が揺れた。ベストトリックの最終5本目を成功させなければ、連覇の夢はついえる。堀米は極限状態にいた。「泣いても笑っても最後。限界の技を出さないと勝てない」。全てを懸け、滑り出した。
挑んだのは、空中で見えない方向に270度回り、幅10センチほどのレールに正確に引っ掛けて降りる大技。6月の五輪予選でも同じ技を土壇場で繰り出し、逆転で出場権を手にしていた。この日は練習も含めて一度も決まらなかったが、「乗れることだけをイメージした」。きれいに回り、着地でこらえると、97点台の驚異のスコアが告げられて大逆転。上位につけていた米国選手が続けて失敗し、歓喜の瞬間を迎えると、クールな男が感情を爆発させ、何度もほえた。
初代五輪王者になってからの3年間は「地獄だった」と言う。五輪予選でのジャッジが技の質や種類を重視する傾向になり、洗練された表現力を強みとする堀米は厳しい評価にさらされた。自身の理想を貫くのか、あるいは得点に直結する技に取り組むべきなのか、心が揺れた。「何をしてもうまくいかなかった」と明かす。
いったんは諦めた五輪出場を手繰り寄せると、米国で猛練習。見守った早川コーチは「五輪は雄斗が特別と思える大会。勝つための努力を、今までの何倍もやっていた」と目を見張った。その執念は、銀メダルの選手をわずか0・1点上回る形で実った。
世界のライバルに、またしても底知れぬ精神力の強さを見せた。笑みを浮かべて「これからも終わりがないな」。目標や夢が何であれ、スケーターとして進化した姿を今後も見せ続けるに違いない。

















