苫小牧市柳町の横山久恵さん(78)は80歳で亡くなった夫の明史さんを、夫自らが描いた油彩画約10点で飾った式場から見送った。絵画は、剣道や登山、スキーと多趣味な明史さんが「体を動かせなくなっても続けられる」と60歳になってから始めた趣味だった。生前から希望する友人や親戚には作品を譲っており、久恵さんは「家に飾ったよと言ってもらえるのがうれしかった」と語る。
明史さんが所属した市内の絵画サークルポプリと久恵さんによると、明史さんは建設工事会社を経営する傍ら、本格的に絵を学び始めた。サークル講師で高校の元美術教師の今夛博勝さん(80)は明史さんと苫小牧東高時代の同級生。「勉強熱心でいろんな表現に挑戦し、緻密な絵だった」と評価する。
明史さんは6月に病気で亡くなるまで、製紙工場の煙突がある街並み、ウトナイ湖のガン類のねぐら立ちなど地元の情景をはじめ、海外旅行で訪れたスペインの古風な風車群など風景画を多く描いた。描きためた絵画は50点近くに上る。
葬儀を行う際、作品に目を留めた斎場担当者に式場に飾ることを勧められ、四季折々の北大苫小牧研究林や久恵さんの実家がある十勝管内上士幌町の「タウシュベツ川橋梁(きょうりょう)」などの油絵を祭壇やホール出入り口付近に並べた。親しかった住吉町の白石軍志さん(86)は「斎場に絵があるのは珍しいと思いながら見たが、どの絵も色使いなどが素晴らしかった」と振り返る。
久恵さんは「遺品を整理していたらたくさんのスケッチが出てきて、本当に好きだったんだなと改めて思った」という。書斎や寝室に残る油絵を眺めていると「自分もとても癒やされる」と話しながら、「もっと褒めてあげればよかった」と小さく笑った。
















