幕末期に白老で命を落とした仙台藩士やその家族を祭る白老町緑町の藩士墓地で10日、地域住民らによる供養祭が行われた。1913(大正2)年から執り行われ、今年で111回目。関係者ら12人が遠く北の地で散った人々に鎮魂の祈りをささげた。
地域住民有志らでつくる同祭典実行委員会(委員長・緑町3区町内会の井澤利範会長)主催。眞證寺(町本町)の若林尚文住職が読経し、住民や町教育委員会の関係者、仙台藩白老元陣屋資料館ボランティアガイドを務める同館友の会の会員が手を合わせた。
若林住職は「先代からずっと供養を続けてきた。大事な伝統と先人の思いを守り続けて」と語り、井澤委員長も「高齢化が著しいが、力が続く限り毎年の供養を続けていきたい」と話した。
仙台藩は当時の対露政策で幕府から東蝦夷地警備を命じられた。警備拠点となる陣屋を白老に1856(安政2)年に築いたが、藩士の生活は寒さや栄養不足で過酷を極め、68(明治元)年までに23人の死亡が確認されている。墓石は明治末期の入植者が元陣屋跡の草むらで発見し、ほかの場所にあったものと合わせて11基を1カ所にまとめ、供養を始めた。
供養祭は2013年の100回目まで仙台陣屋史跡保存会が実施し、同会解散後は同祭典実行委が継承している。

















