白老町で9月20日に開幕する芸術祭「ルーツ&アーツしらおい2024」の関係者の動きを追ったドキュメンタリー映画の制作が、同町で進んでいる。厚真町で映画制作・企画会社「fuchi(フチ)」を運営する小町谷健彦さん(39)が手掛けており、完成した作品は同芸術祭で上映される。「(見た人が)白老町に関心を持つきっかけになれば」と話している。
小町谷さんは札幌市出身。東京大工学部を中退後、都内の映画制作会社などに就職し、21年に厚真町へ移住した。24年2月に有志団体「あつまフィルムコモンズ」を設立し、町民が撮影した映像から「まちの記憶」を掘り起こす作品を制作している。
同芸術祭については5月に知人の紹介で知り、「この町にある物語の本質に触れてほしい」という募集要項に共感してドキュメンタリー映像部門「SHIRAOI SHORT SHORT」への出品を決めた。
制作に当たり、「町民の言葉にできない、言葉にならないまちへの思いを、次世代にどう引き継ぎ、分かち合うか」と考え、「これだとみんなで考えるものにできそう」と思い、内容を芸術祭関係者の思いや活動、出品作の展示会場の雰囲気などを伝えるものに決めた。
映像化する意義について「ルーツ(歴史、原点)とは何か、アーツ(文化、表現)とは何かなどを、見た人みんなで考えるきっかけにできる。他の地域の人たちにも、その地域で大切なものに思いをはせてもらえたら」と話す。
出品に向けて6月から取材対象やロケ地を調査。7月に撮影を始め、12日に本格化させた。関係者が芸術祭の在り方について真剣に意見交換している場面などを収録しており、9月初旬から編集作業に入り、芸術祭の開幕までに完成させる。30分ほどの作品にする予定で、町内の各地域を巡回する形で上映される見通し。「白老というまちが大事にしているものに興味を持ち、この町を訪れる気持ちになってもらえたら」と意気込んでいる。
同芸術祭の映像部門出品には、先行して韓国出身の映画監督、李炫沃(イ・ヒョンオク)さん(45)が町内の飲食店をテーマに映画制作を進めており、李さんと小町谷さんを含む計5人による白老に関する映画が上映される。

















