道は、2023年の「北海道アイヌ生活実態調査」の結果を公表した。アイヌ民族であることを理由に何らかの差別を受けた人は29.0%で、前回調査(17年)から5.8ポイント増加した。差別を受けた場面では、「SNSなどインターネット上の書き込み」が31.6%で最多だった。
調査は、アイヌの人たちの生活実態を把握し、施策に生かすため1972年に始まり、おおむね5~7年置きに実施されている。市町村が把握できた人が対象となり、今回は23年10月1日時点で確認できた5322世帯、1万1450人を対象に実施。前回調査から249世帯、1668人減少した。
15歳以上の世帯員を対象にしたアンケート(有効回答472人)では、差別の実態を調査。差別を受けた場面では、今回から項目に新設した「SNSの書き込み」が3割を超えてトップ。これに「職場で」(15.8%)、「就職のとき」(10.5%)が続いた。
SNSでの差別的な書き込みへの感じ方(複数回答)については、「不愉快で憤りを感じる」が37.5%で最多。12.1%が「恐怖・不安を感じる」と回答した。
差別の原因・背景(複数回答)では、「人種的な偏見」が69.9%で最多。以下、「アイヌ民族の歴史的・社会的背景に対する無理解」(54.9%)、「アイヌ文化に対する無理解」(45.6%)、「学校教育においてアイヌ民族の理解を深める取り組みが不十分」(42.7%)、「経済的理由」(34.5%)の順となった。
アイヌ施策推進法の認知度については、「法律が制定されたことは知っているが、内容はよく知らない」(48.3%)が半数近くを占めた。34.3%が「法律が制定されたことを知らなかった」と回答。「法律が制定されたことを知っており、内容もおおむね知っている」は14.6%にとどまった。
アイヌ施策推進法における「差別禁止」の認知度も、60.8%が「知らなかった」と回答した。
また、白老町の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」への訪問経験に関しては、「行ったことがある」が40.3%で、「行ったことがない」が58.5%だった。
◇
鈴木直道知事は10日の定例会見で、今回の調査結果について「アイヌの方々に対するいわれのない差別、偏見が存在していることが明らかになった」と指摘。今回はアイヌの人たちに対する調査だが、道では今月から道民を対象に「アイヌ施策、アイヌの人々に対する意識調査を開始している」と述べた。国に対しても全国調査の必要性を訴えていることを強調。これら調査を踏まえ、「関係者と連携し、いわれのない差別、偏見の解消に向けて、より効果的な啓発活動を展開していきたい」との姿勢だ。
















