「君」と「さん」

「君」と「さん」

 小学生の娘が、こんなことを言い出した。

 「学校で先生が男子は君で、女子はさんで呼ぶんだけど、気になるんだよね」

 なぜ、そう思うのだろう。娘はこう続けた。「心は女なのに、君と呼ばれて嫌な思いをしてる子がいるかもしれないし、体は男で格好は女子だったら、先生もどう呼べばいいか分からなくて困るんじゃないかな」

 体の性別だけに着目して呼び方を変えるのはおかしい―ということらしい。子どもの鋭い視点に感心しつつも、反省させられた。

 時事通信社の用事用語ブックでは、中学生以上は男女とも「さん」だが、小学生では男子は「君」、女子は「さん」を使うよう記載されている。当たり前のように戸籍上(体)の性別だけで使い分けてきたが、娘の言う通り嫌な思いをした子がいたかもしれない。

 では、どのように呼べばいいのだろう。娘に聞いたら、さらっと答えた。

 「みんな『さん』でいいよ。そこを分ける必要あるの?」(百)

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