厚真町出身の料理人三上裕人さん(42)が、11月までにむかわ町松風で飲食店を開店する準備を進めている。札幌市で飲食店を経営していたが、町を盛り上げようと7月に移住した。店舗は生花店「フラワーショップいとう」として利用され、4年前に閉店した建物で、元店主の伊藤正和さん(79)=町大原=は「町の中心部にあり、地域の活性化につながってほしい」と期待を込める。
三上さんは18歳から料理の道に進んだ。名古屋市や札幌市などでカフェやイタリアンレストランの立ち上げに関わり、2018年10月に札幌市豊平区で飲食店「みかみ」を開店。厚真町産の豚肉「米愛豚(まいらぶた)」を使ったとんかつで人気を集めていた。
その中で、むかわ町福住の合同会社GCs(ゲーシーズ)で代表社員を務める弟三上誉人さん(36)から「食で地域を盛り上げたい」と話があり、町への移住と飲食店の開業を決め、24年6月中旬に札幌の店を閉めた。翌月移住し、現在は町松風で建物の改修を進めている。
新しい店も「みかみ」とし、食事処にする予定。ランチは1000~2000円で、ディナーはコース料理などを3000~5000円台で提供する想定をしている。食材は地域の農業者や漁業者と知り合う中で、地場産などを買い付ける考え。
建物はもともと旅館で、1990年に「フラワーショップいとう」としてオープンした。木造2階建てで、建物面積は1階165平方メートル、2階99平方メートル。苫小牧市内の生花店で勤務した経験のある伊藤さんと、妻の幸子さん(85)で切り盛りしていた。慶弔用商品の需要などがあったが、高齢化や胆振東部地震の影響で20年12月に閉店した。
建物の一部はゲーシーズでも活用していく予定で、伊藤さんは「新たな利用に感謝している」と述べる。飲食店を開く三上さんは「すてきな空間なので、もともとあるカウンターやペレットストーブを活用し、木の質感を生かした店内にしたい。多世代の人が集う店になれば」と意気込んでいる。

















