AI研究の醍醐味 杉本(すぎもと) 大志(まさし)

AI研究の醍醐味 杉本(すぎもと) 大志(まさし)

 少し肌寒くなり、夜が長くなる季節です。書斎のパソコンの画面には、クラウドサービスを使って共同編集しているプログラムコード(コンピューターに命令を与える文字列)の修正提案や共同研究者とのボイスチャット(インターネット上の音声通話)の内容が画面に並んでいます。

 異なる分野が人工知能(AI)の発展に思わぬ形で役立つことがあります。例えば、ロボット工学の理論がAIの学習を安定させたり、農業の技術が新しい画像認識の方法に役立ったり、電気工学のフィードバック制御やノイズ抑制の考え方がモデルの改善にヒントを与えたりと、いろんな分野が結び付いて新しい発見をもたらします。

 プログラミングでは、ほんの一行のコードの変更が大きな変化を生むことがあります。クラウドでコードを確認し合ったり、ボイスチャットで気軽に意見交換ができたりするのも魅力です。遠くにいる仲間と日々研究を進められるのは、現代ならではの楽しさです。

 実験結果を分析する中で、新しい仮説が浮かぶこともあります。データを見ながら話し合ったり、クラウド上で協力してモデルを改良したりと、場所に縛られずに共同研究ができることで、さらに革新的なアイデアが生まれます。

 秋の長い夜、静かな書斎でコードを書き込んだり、国内の研究仲間とリアルタイムで議論を交わしたりする。そんな現代的な研究スタイルの先に、AIの次の大きな進展が待っているかもしれません。

(苫小牧工業高等専門学校准教授)

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