イオン北海道(札幌)が、苫小牧港を発着するRORO(フェリー型貨物)船を活用した商品の配送を本格化している。トラック運転手の時間外労働が規制された「2024年問題」への対応策で、道央圏から道東への商品配送の一部を、陸送から海上輸送にシフト。トラックの走行距離が減ることで、二酸化炭素(CO2)の排出削減につながり、大雪や災害時の代替輸送手段としても期待される。
海上輸送は10月29日に苫小牧―釧路間で始めた。陸送を海上輸送に切り替えるモーダルシフトで、北広島市にある配送拠点からイオン釧路店(釧路管内釧路町)に運ぶ荷物を、栗林商船(東京)のRORO船で輸送。今年5月に同区間でモーダルシフトの実証実験を行い、効果が確認できたため本格的な実施に踏み切った。
雑貨や衣料品などの商品を週4回、1回当たり約20トンを運んでいる。現在は釧路店のみへの配送にとどまるが、早ければ来春に対象を釧路市や根室市、釧路管内厚岸町の3店舗にも拡大し、系列のディスカウントストア「ザ・ビッグ」への配送も視野に入れる。食品も常温で輸送可能な商品を、空いているスペースを使って運んでいる。
同社は荷物の輸送を運送業センコー(大阪市)に委託し、これまで北広島市の拠点から釧路管内の店舗まで、往復約550キロを陸送していた。トラックの輸送距離はモーダルシフトで、総計4分の1ほどに短縮される。ドライバーの拘束時間も、陸送では2日間かけて往復するため、1日当たり約10時間だったが、海上輸送は半日で終わるため、1日4~5時間程度に減らせるという。
両社の試算によると、根室市や厚岸町の店舗への配送も海上輸送に振り替えた場合、トラックの運送距離は年間約58万キロ分、CO2も同302・8トンそれぞれ削減できると想定。CO2の削減効果は約55%で脱炭素化にも貢献する。イオン北海道広報・IR部は「今後も取り組みをさらに進め、物流分野の問題解決や持続可能な社会の実現に向けた施策を推進したい」と強調している。
















