苫小牧市北光町の塩谷榮子=雅号・榮琴=さん(98)は、80歳で習字を始め、現在も研さんに励んでいる。習字教室では、孫や子の世代の生徒と切磋琢磨(せっさたくま)し、国際書道協会が発行する「書の研究」誌上で漢字臨書部準四段の腕前に。「さらに高段位を目指す」と意気軒高だ。
1926年10月生まれの塩谷さんは、21年前に夫の善一さんと死別。現在は、3人の娘や近所の人らに見守られながら生活している。
20年ほど前、自宅で除雪作業中に転倒し大腿(だいたい)骨を粉砕骨折。半年の入院とリハビリ生活後は自宅に引きこもりがちだったが、市内4カ所で習字教室を営む長女伊藤爽琴さん(72)=豊川町=が「外出する機会に」と、教室に誘ったことがきっかけで習字を始めたという。
「八十の手習い」で本格的に始めた習字は、義務教育以来で「文字を書く際に右上がりになる癖がある」と話す塩谷さん。月3回、豊川コミュニティセンターで開かれる伊藤さんの教室で書の研究を手本に、半紙で8枚ほど作品を仕上げる。
5年前に大腸を手術。今年8月には右膝を痛めるなどたびたび活動を中断する時期もあったが、「書は奥が深く、精神統一ができるので教室に通うことが楽しみになった」と語る。
同じ教室で学ぶ有珠の沢町の主婦阿部美佐子さん(64)は「90代で習字を続けていることがすてき。大先輩が頑張る姿は刺激になっている」と言う。他の生徒たちも、塩谷さんの熱心さに触発され、筆を持つ手に力が入る。
書道歴17年の塩谷さんは、年1回の国際書道協会主催の書道コンクールでこれまで3回の努力賞を受賞。指導に当たる伊藤さんは「周囲の人に温かく見守られており、これからも元気に習字を続けていってほしい」とエールを送る。
















