苫小牧市若草町の王子総合病院は東胆振・日高で唯一、日本乳癌学会乳腺専門医が常勤している。医師は乳腺外科主任科長の角谷昌俊さん(55)で、今年4月から同院に勤務している。角谷さんは「地域の中でがんセンターや大学病院のような標準治療が受けられる環境を整えたい」と意気込んでいる。
角谷さんは札幌市出身、1998年に旭川医大卒。当初は消化器外科でキャリアを積み、前任地の江別市立病院で2011年から、乳腺の診療を行うようになった。角谷さんは「(乳がんは)他のがんに比べ、働き盛りで子どもを持つ若い患者が多い。早期の社会復帰に向け、何とか手助けしたい」と思いを強くし、18年1月に日本乳癌学会の専門医になった。
日本乳がん検診精度管理中央機構マンモグラフィ読影認定医、がんの根治性と整容性を両立させる手術普及を目指す日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会責任医師など、関連資格も多数取得して知見を深めてきた。今年4月から王子総合病院で勤務し、苫小牧市内を中心に、千歳市や白老町など近隣をはじめ、日高管内も含めて広範囲から訪れる患者を診療している。
厚労省などによる女性の部位別がん罹患(りかん)数は19年データで、乳がんが約9万7100人で1位。2位の大腸(約6万7700人)、3位の肺(約4万2200人)と比べても群を抜くが、角谷さんは「乳がんはステージ2でも10年生存率が9割以上。体に負担の少ない治療法も確立されてきている」と早期発見、治療の大切さを訴える。患者との会話では、専門用語を分かりやすい言葉に置き換えるよう心掛け「医師の一方的な判断ではなく、治療の選択肢を提示しながら、患者の意志を尊重することも大切にしている」と話す。
その上で「仕事や家事で忙しく検診を控える方が多い。受けやすい環境整備が必要」と強調。乳がん検診の普及を目指すNPO法人に賛同し、毎年10月の第3日曜に受診を促す「ジャパン・マンモグラフィー・サンデー」に同院も取り組むなど積極的に啓発し、自身の乳房状態を日々確認する「ブレスト・アウェアネス」の実践も強く訴える。
角谷さんは「地域の中で医療を完結できる環境づくりに努める。札幌など都市部と同等の質を保ちたい」と意欲。来年1月には専門医を育成する指導医の認定を受ける予定で「道内には乳がん専門医が少ない。患者数はまだ増えると思うので、育成にも力を入れたい」と話している。
















