経済的に困窮している人を早期に支援する生活困窮者自立支援法が成立してから、今月で10年が過ぎた。苫小牧市も同法に基づき福祉総合相談窓口を設置し、支援を展開してきた。相談件数はコロナ禍で倍増し、今年度は物価高騰で生活が立ち行かないとする相談も目立つ。市は「一層丁寧な寄り添い支援が求められる」と役割を自覚するとともに、改めて制度の周知に力を入れている。
同法は2013年12月13日公布。生活保護に至る前の「第2のセーフティネット」として、失業や不安定な雇用形態、心身の健康不安、家族問題、債務、引きこもり―など複雑な課題によって経済的に困窮している人を支援するため、自治体に総合的な相談窓口の設置と困窮者ごとの支援計画策定を義務付けた。
市は15年4月の法律施行に合わせ、福祉部に総合福祉課を新設。相談窓口では▽家賃相当額を支援する住居確保給付金事業▽家計の立て直しをアドバイスする家計改善支援事業▽相談者世帯の子どもへの学習支援事業▽住居のない人に衣食住を提供する一時生活支援事業―などを展開してきた。
初年度の相談者数は509人で、その後も19年度まで500人前後で推移してきたが、コロナ禍に起因した解雇や雇い止め、休業による出勤停止などを背景に20年度は970人に倍増。21、22年度も750人台で推移し、今年度は9月末までで313人に上る。
住居確保給付金事業の対象世帯も、当初は10件程度だったが、コロナ禍の20年度は107件、21年度は101件と急増し、22年度も49件に上った。
社会情勢の変化に伴い、相談内容も変わりつつある。事業開始当初は長期間の引きこもりで社会的に孤立し、経済的自立が難しい若い世代に関する相談が多かったという。このため17年12月、当事者らの交流機会として独自事業の「茶話会ぽれぽれ」をスタートさせた。
しかし20年度以降、仕事をしていても生活に行き詰まる人からの相談が目立つように。「ダブルワークをしていても家賃が払えず、転居する費用もない」と訴える若い人や、「年金と給与でやりくりしてきたが、生活費が足りない。高齢でこれ以上仕事を増やすこともできない」と相談を寄せるシニア世代もいるという。
同課で相談に当たる伊藤千恵子さんは「コロナ禍での減収に加え、物価高で生活が立ち行かなくなっている人が増えている印象」と語り、家計状況や根本的な課題を把握する家計改善支援事業に注力して生活の立て直しを助言している。伊藤さんは「公的な支援制度は大切だが、充実しても制度のはざまで苦しむ人はいる」と指摘し「これまで以上に積極的に地域に出向き、声を上げられない人の話に耳を傾けていきたい」と話している。
















