【ニューヨーク時事】米大リーグのカブスは11日、プロ野球DeNAからポスティングシステムでメジャー移籍を目指していた今永昇太投手(30)と4年契約を結ぶことで合意したと発表した。12日にシカゴで記者会見する。
米メディアによると、契約の総額は5300万ドル(約77億円)。2年目と3年目終了後に球団側に契約延長のオプション行使権があり、最大で5年総額8000万ドル(約116億円)になる。DeNAには約980万ドル(約14億円)の譲渡金が支払われる見込み。カブスでは2022年から鈴木誠也外野手がプレーしている。
左腕の今永は昨年、7勝4敗、防御率2・80、174奪三振で初めて最多奪三振のタイトルを獲得。同年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では決勝の米国戦に先発した。
カブスは昨年83勝79敗でナ・リーグ中地区2位となり、僅差でプレーオフ進出を逃した。今オフはカウンセル新監督を招き、投手陣の強化などを課題としていた。
飽くなき向上心を強みに海を渡る。「子供たちが球場に僕のユニホームを着て足を運んでくれる。それが最初の目標」。そう口にする今永の挑戦が始まった。
2023年は成長を示した。白星は7勝(4敗)にとどまったものの、浮き上がるような軌道の直球を軸に奪三振を量産。148イニングで174三振を奪い、自身初のタイトルに輝いた。
7回1失点で6勝目を挙げた7月7日の巨人戦では、15三振を奪いながら「四球がゼロだったことの方が評価できる」と振り返った。正確なコントロールも長所の一つ。投手の完成度を示す指標として近年重視されている「K/BB」(奪三振を与四球で割った値)は7・25。米国では、23年に140イニング以上投げた大リーグ投手でこの数字を上回ったのはわずか2人しかいないとして、今永の能力の高さがクローズアップされた。
大リーグでサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を獲得した実績があるバウアーがDeNAに加入した昨季は助言を受け、終盤でも勢いのある速球を投げられるフォームにもトライ。不調時にプレートを踏む位置を巧みに変えて立ち直る器用さも示した。大リーグ球団との交渉を前に「自分の可能性が無限大に広がる、そういったチームが最適」と話していた左腕。願っていた環境で、さらなる進化が見られるかもしれない。














