がん治療後の「アピアランスケア」 国立がん研究センター 脱毛対応など冊子で

がん治療後の「アピアランスケア」 国立がん研究センター 脱毛対応など冊子で
脱毛に関する冊子

 がん治療に伴う脱毛や傷痕など、外見の変化による苦痛を軽減する「アピアランスケア」。国立がん研究センター(東京都中央区)が冊子を作り、変化への心構えやセルフケアの方法を患者らに伝えている。

 アピアランスケアには、外見の変化を補うことに加え心理面の支援も含まれる。がん治療が進展し、仕事や学業を続けられる患者が増えたことを背景に必要性が高まっている。

 同センターと横浜市は2019年以降、脱毛などへの対応をまとめた冊子を公開。今秋には頭頸部(とうけいぶ)がんと乳がんに関する冊子2種類を追加し、全7種類とした。

 脱毛に関する冊子では、毛が抜ける程度は治療や人によって異なるため、急いでウィッグを購入するのでなく医療者に見通しを尋ねるよう勧める。高額なものでなく数万円で購入したいと考える患者が多いとし、「一番大切なのは、似合うと思えること」と伝える。

 今年新たに冊子を追加した頭頸部がんについては「手術の傷痕は徐々に目立たなくなることがほとんど」と説明した上で、気になるときはマスクやスカーフで隠せると知らせる。周囲から尋ねられることを想定し、「傷を保護している」などの答えを用意しておくと安心だとする。

 外見の変化によって人が離れていくのではないかと心配する患者もいるが、同センターの藤間勝子アピアランス支援センター長は「周りの人は分かってくれます。親しい人ほど外見ではなく、中身を見て付き合っています」と話す。

 冊子はウェブサイト(https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/appearance100index.html)から取得できる。詳しい相談をしたい場合は、各地のがん診療連携拠点病院にあるがん相談支援センターに連絡する。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る