25日に、東日本大震災で多くの犠牲者を出した宮城県石巻市を訪れた。同地で話を伺ったのは、津波で長女の愛梨さん=当時(6)=を失った佐藤美香さん(49)。幼稚園児だった愛梨さんは、送迎バスで避難中に津波に巻き込まれ、その後に町を焼き尽くした火災で亡くなった。
幼稚園は高台にあり、津波に襲われなかった。その場にとどまっていれば愛梨さんの命が失われることはなかったはずだった。大人の判断一つで大切な命が失われた。「控えている災害は必ずある。とにかく命を最優先で行動して」。美香さんは「もう誰にも同じ思いをしてほしくない」と伝承活動を続ける。
苫小牧市は昨年、津波浸水時のハザードマップを改訂。前回の予測より被害の想定は拡大し、もし北海道沖で大地震が起きれば沿岸に最大約9メートルの津波が約40分で押し寄せる。
あの地震と津波から間もなく13年。私も佐藤さんが抱く無念を誰にも味わってほしくない。大切な人のために、もしもの備えを。(中)









