6月にトルコ・アンタルヤで開催されるパリ五輪出場を懸けた、団体世界最終予選などに参加する選手を決める日本代表選考会が9、10両日、東京・夢の島公園アーチェリー場で行われた。東京五輪代表で苫小牧市在住の岸塚美樹(ハードオフコーポレーション)が出場し、女子2枠の代表を目指したが、届かなかった。【東京、陣内旭】
1日目の9日は強風が吹き荒れる難しいコンディションだったが、岸塚は一時トップに立つなど抜群の安定感。上位10人が進む2日目に6位で進んだ。1日目とうって変わって穏やかな天気の中で行われた最終日。岸塚は36射を終えて10位と出だしでつまずいた。その後は得点を徐々に伸ばして追い上げを狙ったが、最終的に10位に終わった。
▽結果は次の通り。
1日目 (1)園田稚(早稲田大)1243点 (2)杉本智美(ミキハウス)1218点 (6)岸塚美樹(ハードオフコーポレーション)1195点
2日目 (1)園田稚(早稲田大)1303点 (2)上原瑠果(同志社大)1277点 (10)岸塚美樹(ハードオフコーポレーション)1216点
― 岸塚「恩返ししたかった」
試合後、岸塚は「応援してくれるたくさんの人に恩返しするために結果を出したかった」と涙を流した。
勝負の2日目、出だしの36射で10位の厳しいスタート。課題だった右手の引きが甘くなった部分もあり、「技術面でどうしたらいいか迷う場面もあった」と悔しさをにじませた。それでも「後悔だけはしたくなかった」と最後の36射は2日間で最高の309点をマークし、意地を見せた。「納得のいく射ち方で締めたいと思った。最後は楽しかった」と振り返った。
「試合中は自分で選択していかなければいけない」と、恩師からの自立を決断し、苫小牧市総合体育館のアーチェリー場で一人練習する岸塚。冬には雪かきに1時間を要する日があったり、寒さでモチベーションを保つのに苦労した日もあった。それでも家族や、アーチェリー場の隣で常に声を掛けてくれる弓道場の人たちなど「応援してくれる人たちのために頑張る」ことを原動力に進んできた。
大友陽平コーチは「試合中も笑顔で射てていた。楽しく試合できたことは良かった。今後も大会がある。調整して頑張ってほしい」と激励。岸塚の実家、山形県鶴岡市から応援に駆け付けた父親の中村秀明さん(67)は「北海道の地でコーチも付けずよく頑張った。ゆっくりしてから今後のことを考えてほしい」とねぎらった。
岸塚は今季、国内大会に専念する見通し。その後は「またゆっくり考えたい」と話している。

















