第63回春季北海道高校野球大会室蘭支部予選第5日は12日、とましんスタジアム=苫小牧市=で続開し、3回戦の3試合が行われた。鵡川、苫小牧工業、苫小牧東がそれぞれ勝ち、第4日の11日に勝ち上がっていた駒大苫小牧と共に準決勝へ進んだ。
鵡川は苫小牧南を8―0の七回コールドで押し切った。投手の住友が7回投げて走者を一人も出さずに参考の完全試合を達成した。
苫小牧工業はシードだった苫小牧中央を2―1で破った。苫小牧東は室蘭栄を2―1で振り切った。駒大苫小牧は北海道大谷室蘭を10―1の七回コールドで圧倒した。
13日の休養日を挟み、14日の準決勝は駒大苫小牧―苫小牧東、苫小牧工業―鵡川の各対戦で行われる。
(12日)
▽3回戦
苫小牧東
000001100=2
000001000=1
室蘭栄
(苫)堤、原―竹田
(室)今谷―住吉
((本)高橋
(二)堀(苫)豊嶋(室)
苫小牧中央
000000100=1
00020000X=2
苫小牧工業
(中)藤原―日向
(工)岡田―渡邊
(三)桑村(工)
苫小牧南
0000000=0
311021X=8
鵡 川
(七回コールド)
(苫)岩佐、上原―澤田
(鵡)住友―佐藤
(本)大森(鵡)
(三)阿蘇(鵡)
(二)清水(鵡)
(11日)
▽2回戦
鵡 川
6000110=8
0000000=0
静 内
(七回コールド)
(鵡)今富―佐藤
(静)矢野、梅津、清水、佐藤―三浦、小林
(二)今富(鵡)
▽3回戦
北海道大谷室蘭
0001000=1
170020X=10
駒大苫小牧
(七回コールド)
(北)工藤大、角田、馬場―富山、白井
(駒)大原、辻、大槌―小池
(二)(北)工藤希(駒)大原、酒巻、茶木
鵡川2年投手・住友 ひたむきに打者21人抑える
球数67、打者21人を完璧に打ち取った。鵡川の背番号13で札幌出身の2年生、住友が七回参考記録の完全試合を達成した。6奪三振、あとはゴロか飛球にさせた。「自分は打たせて取る投手。先輩方、仲間がしっかり守ってくれたので」とノーミスの仲間を信じ切っていた。にこにこと笑顔がはじけた。チームのこれまでを知り尽くす経験豊富と言って十分過ぎる72歳の小池監督を興奮させた。「公式戦初登板で、こんなことした投手は初めてだ」。右腕住友に驚嘆を隠さなかった。「人間性が表れた投球。緊張はしていたと思う」
前日に監督から先発起用を託された。パンチ力のある打者もいる苫小牧南の打者と向き合い、外角を意識。「ストライクを入れることだけ考えた。真っすぐとカーブだけ放った」と住友。小池監督は登板前から、しっかりと球の切れを見極めて、低めだけでなく高めも使ってカウントを取っていくように指示。素直に従い、ひたむきに役割に徹した。
身長は172センチだが、1年でトレーニングすると100キロ超まで体重が増えた。「練習試合で投げさせてもらったとき、九回までいくと力が入らなかったんです」。猛省しながら冬に錬成。現在は85キロになり、誰が見ようにも投球が安定した。
2年生投手の躍動は今世紀の序盤、好投手を擁しながら甲子園へ出て行った鵡川にとっての「吉兆」か。当時を預かっていた小池監督は「学校生活も、寮生活も素晴らしいのが住友。人間的成長なくして、野球技術的成長なしだから」。この春、チームに新たな希望の星が現れた試合だった。














