1―0の緊迫した展開で迎えた八回2死。ヤクルトの4番村上が、勝利をたぐり寄せるソロを放った。浮いた変化球を完璧に捉えた打球は、ヤクルトファンで埋まる右翼席へ。その行方を見届けてから、ゆっくりと走り始めた。
プロ通算200号。お立ち台に上がった村上は「勝てたのでほっとしている。あの場面では、本塁打で1点を取るのが理想だった」と淡々としていた。24歳3カ月での到達は、清原和博(西武)の24歳10カ月や、これに次ぐ王貞治と松井秀喜(ともに巨人)の25歳3カ月より早い最年少記録。球史に名を刻んだ強打者たちの記録を塗り替えた。
村上も、強豪球団の中軸を担った清原や王、松井のように本塁打で勝利に貢献してきた。「一振りで打点がつくし、それでチームが勝てればいい。流れも本塁打1本で持ってこられる。すごく意味があるもの」。2021年の日本一や22年のリーグ連覇の原動力となったからこそ、記録の価値は高まる。
1年目の本塁打は清原の31本に対し、村上は1本だけ。2軍監督時代から村上を指導してきた高津監督は「こんなスピードで王さんや清原さんの記録を超すところまで来るとは思っていなかった。(この成長を)長く続けてほしい」。本人も「まだまだ通過点。もっともっと打てるように頑張る」と誓う。日本球界屈指のスラッガーは、進化の途上にある。














