2位で迎えた最終6投目。女子やり投げの北口は「もうちょっと投げられる」と感じながら試技を重ねていた。逆転の確信を持って放ったやりは、高い放物線を描いて今季自己最高の63メートル45まで届いた。きっちり勝ち切り、国立競技場の約2万人のファンを沸かせた。
今季これまでの2戦は優勝しながらも「不完全燃焼」ともどかしさの残る試合だった。この2週間は持ち前の柔軟性が失われないように、体のケアを増やしてコンディションを調整。「自分の体が(硬い)板状に感じていたのが、今はちょっと柔らかい板に変わってきている感じ」と表現できるようになった。
高く投げるよう意識した5投目、6投目で記録を伸ばした。昨夏の世界選手権を制した時のような、本来の自分の投てきを取り戻しつつある。「高さが出たのは、柔らかさが戻ってきたから」と手応えを口にした。
今後は練習拠点を置く欧州で転戦。「焦らずゆっくり8月までやること」とパリ五輪を見据える。「63(メートル)ではまだ足りない。65に乗せられるように頑張っていきたい」。ここから上昇気流に乗るつもりだ。

















