解放されたように、やっと表情を崩した。巨人の戸郷は最後の打者を空振り三振に仕留め、ノーヒットノーランを達成。高卒6年目で成し遂げ、「言葉に表せない感動があった。今までやってきたことが間違いではなかった」。舞台は敵地甲子園。昨季日本一の阪神を封じ、主役になった。
課題だった制球は、オフから力強さを求めた直球を軸に安定。フォーク、スライダーなどの変化球も状況に応じて投げ分けた。大記録を意識したという七回以降も球威は落ちない。九回は先頭に四球を与え、初めて二塁に走者を背負ったものの、最後は中野に得意のフォークを振らせて試合終了。次第に高まる期待、敵地の異様な雰囲気にものまれず投じた123球だった。
ドラフト6位の下位指名からはい上がってきた。今季就任した阿部監督は「若きエース。信頼は揺るがない」と繰り返す。高みを目指すからこそ、自身の理想とはほど遠い結果が続いた今季は「苦しかった」。指揮官は快投に「泣きそうになった」と打ち明け、右腕をたたえた。
巨人の投手が甲子園の阪神戦で快挙を遂げたのは1936年の沢村栄治以来。伝統の一戦には思いが強く、「野球人が喜ぶ戦いを毎回見せたいと思っている。偉大な先輩方に多少肩を並べることはできた。もっといろんな記録に挑戦したい」。進むのはエースの道。遠ざかる日本一に向け、役目を果たしていく。














