苫小牧市勇払の自動車部品製造業で、道内最大のものづくり企業でもあるトヨタ自動車北海道の社長を2017年6月から7年間務め、6月14日付で退任予定の北條康夫氏(67)。任期中は胆振東部地震や新型コロナウイルス禍の困難に直面する一方、22年9月に創業30周年の節目を刻み、今年3月には新製品製造にも乗り出した。また、同社社長としては初めて苫小牧商工会議所副会頭を務めるなど、地域の発展に貢献した。退任前に思い出や今後の同社展望を聞いた。
―退任に当たって。
「地域や経済界の皆さん、もちろん会社のメンバーも、温かく接してくれた。トヨタ自動車(愛知県)に入社して以来43年間、ずっとAT(自動変速機)やCVT(無段変速機)など駆動系部品に携わってきた。そこから離れるので本当に寂しいが、ATのラインもなくなり、今後は電動化が進む。一つの時代を乗り切り、やりきった感もある」
―社長就任から振り返って。
「(着任後)18年に新しいCVTを立ち上げる準備の真っ最中で、19年に第2、21年に第3ラインと立ち上げた。ハイブリッド用トランスアクスルの生産を始めた一方、従来型CVTライン2本をはじめ、22年に4速AT、今年2月に6速ATがシャットダウンし、屋台骨を支えてきたATラインが工場からなくなった。時代の変化を感じる」
「電動化の流れが大きく加速したのが20年ごろ。ただ、EV(電気自動車)の世界が一気に来ないだろうと考え、CVTやハイブリッドトランスアクスルを良品廉価で供給するため、現ユニットの原価低減や品質向上に注力した。そこで磨き上げた技術技能は、電動ユニット生産にも生きる」
―胆振東部地震やコロナ禍も経験した。
「18年9月の胆振東部地震では、従業員やその家族で被災した人もいる。工場の設備に大きな被害はなかったが、ブラックアウト(大規模停電)で3日間、生産を止めた。(稼働再開後)ヘルメットを着用したり、頭上にネットを張ったり余震対策が大変だった」
「コロナの影響は大きかった。感染を避けるためのルール作り、それに協力してもらうことが大変だった。在任中は地震、コロナといろんなことがあったが、どんな時もみんなの協力でやってこられた。感謝の言葉しかない」
―トヨタ北海道の今後について。
「苫小牧にトヨタ北海道があって良かった、一緒に仕事がしたいと信頼される会社になってほしい。地域に根差した深い共感力を持ったどさんこ企業として、地域の発展に貢献して共に成長してほしい。苫小牧は物流、ものづくり、再生可能エネルギーの宝庫。地産地消で経済が循環していけば。(同社)ハスカップホールに水素専焼ボイラーを設置し、給湯や暖房に活用していくが、水素に対する課題出しもしてほしい」
―今年3月から次世代エンジン「第5世代」の部品を初めて生産。今後はどう展望していたか。
「3月に生産を始めたPA10(ハイブリッドトランスアクスルの新機種)を、派生車種も含めてまず充実させていく。今後はハイブリッド系も含め、電動ユニットの拠点としてやっていけたら」
―苫小牧商工会議所の副会頭など地域で多くの公職を務めた。
「苫小牧は、冬は雪が少なく、夏は冷涼で、気候的にも本当にいいところ。経済界の方も、とても温かかった。商議所副会頭を務めたが、脱炭素などは地域とともに取り組む課題で、苫小牧の実情や中小企業の考えを知ることができた。未来の苫小牧を笑顔あふれる活力ある町にするため、トヨタ北海道が貢献できることは何か、考える機会になった。(退任後は)名古屋に戻って家族と暮らすが、時々様子を見に来たい」
















