今夏のパリ五輪に出場するハンドボールの男子日本代表。五輪の舞台は2大会連続だが、予選を突破して自力で切符をつかんだのは36年ぶり。目標は「(8チームによる)決勝トーナメントに出ること」と意気込むのはチームの守護神ことGK中村匠(豊田合成)だ。
昨秋、ドーハで行われたアジア予選。決勝のバーレーン戦を「自分に止められるシュートに集中しようと思って挑んだ」と振り返る。緊張でいつも通りのプレーができず、途中で交代。しかし、試合終盤に自身に代わってGKを務めた坂井幹(大崎電気)が顔面にボール直撃を受け、退くことに。再び出番が回り「(自分が)行くしかない」と気持ちが固まったという。
「見えている意識があった」という7メートルスローを止めるなど好セーブを披露。勝利の瞬間は実感が湧かなかったというが「とてもうれしかった」。
福岡市出身の27歳。中学1年の時に友人に誘われて体験入部したのが競技を始めるきっかけとなった。チームメートより少しだけ身長が高かったという理由でGKに抜てきされ、福岡大を経て現チームに加入した。
「メンタルが崩れたときの立て直しが成長につながった」と話す。自分自身を「気にしい」の性格と分析するが、監督やコーチらの「自信を持て」との言葉を思い出すことで、安定してプレーできるようになった。
2年連続で日本リーグのレギュラーシーズンとプレーオフのMVPに選ばれた。パリでの自身の目標は「(シュートに対する)セーブ率35%以上をコンスタントに出す」と力を込める。「それができれば(欧州勢にも)食らい付ける」。チームを支える心構えだ。

















