第106回全国高校野球選手権大会南・北海道大会室蘭支部予選最終日は6月29日、とましんスタジアム=苫小牧市=で代表決定戦が行われた。午後は2代表が決定。Bブロックは苫小牧工業が8―3で室蘭栄に逆転勝ちを収め、Cブロックの鵡川は延長十一回タイブレークの末に5―10で浦河に敗れた。
苫小牧工業は10年ぶり33度目、浦河も10年ぶりに3度目でそれぞれ、南・北海道大会(7月11日開幕)進出を決めた。
【Bブロック】
▽代表決定戦
室蘭栄
021000000―3
00006011X―8
苫小牧工業
(室)今谷―住吉
(苫)桑村、岡田―渡邊
🉁住吉(室)桑村、伊勢(苫)
🉂東、住吉(室)
苫工が逆転勝ち。3点を追った五回、1死満塁で四球押し出し、敵失に続き、桑村が右翼線に走者一掃の三塁打。七回は藤原の左前打、八回は伊勢の右中間三塁打で加点した。
室蘭栄は二回に東の2点二塁打、三回は伊勢のスクイズで3点を先行したが、三回1死から苫工継投の岡田に抑え込まれた。
【Cブロック】
▽代表決定戦
浦 河
00200100016―10
20000000111―5
鵡 川
(延長十一回タイブレーク)
(浦)佐々木―岡崎
(鵡)今富―佐藤
🉂佐々木(浦)
鵡川が先行も逃げ切れなかった。一回2死二、三塁で今井が先制の2点中前打。1点勝ち越された後の九回は2死一、二塁で代打の住友が同点の左前打も浦河の佐々木に後続を断たれた。
浦河は延長タイブレークで鵡川の今富を攻略。6得点のビッグイニングにした。
― 苫工、円山でまた挑戦者に
苫工が10年ぶりに南・北海道大会へ進んだ。59年ぶりに支部突破を目指し、勢いをつけていた室栄を逆転劇で振り切った。
3点ビハインドの五回に室栄エース今谷の投球の乱れで押し出し四球や内野ゴロで2点を挙げ、4番の打席には桑村。外角高め直球にバットを合わせ、右翼線に2点三塁打した。「諦めずに頑張りました」と振り返った。
救援などで投手に回る定位置右翼だったが、この日は公式戦初先発で登板。変化球でストライクが取れずに序盤3失点で右翼の守備に就いた。「自分が打つ」の気持ちだけで結果決勝打になる打撃をしたという。次は円山。「挑戦者として全力で戦ってきたい」とたくましい。
桑村のほか、代表決定戦スタメン捕手の渡邊、二塁手の佐藤のそれぞれの父は平成初期に名将、金子満夫さん率いた苫工チームで活躍した卒業生。恵庭南から2016年に赴任した平山監督も元主将のそうした一人で、鬼手仏心の野球とうたわれた”金子イズム”に教わってきた。試合勝利後、目には光るものがあった。「苫工監督として初めて夏の代表決定の校歌が聞けました」と感無量の様子。
―苫中央 難敵振り切り、激戦区制す
春と今回の支部予選では数々の激戦を戦い抜く手応えを得た。「こういう室蘭支部の代表なので、プライドをもって、集まる強豪の中で一戦必勝でいきます」。古豪復活を期して、第二関門へ乗り込んでいく。
夏の全国初制覇から20年で満を持した駒大苫を苫中央が小差で振り切り、支部の私立校すべてが集まった「激戦区」のAブロックを制した。
試合は好投する駒大苫の辻の前に打線は凡打が続き、一方で主戦の藤原が好投する投手戦の様相。八回に1死2、3塁で渡邊光が右へ適時打し先制。これが決勝点になった。
全打席も中前打した渡邊光は2ボールからの3球目の外へ行くスライダーにしっかりとバットを合わせてチーム打撃。「自信を持っていたし、それを信じて打った」と言う。「本当にうれしい。去年の秋季大会のリベンジを自分たちができたから」と屈託なかった。
二番手の2年生左腕、渡邊大が九回裏を三者凡退に抑えて勝利が決まり、ナインがフィールドに喜びのパノラマを描いた際には迎え入れるようにベンチから渡邊宏監督が出て行き、絶大な喜びを表した。試合後に「気持ちで負けるなと常に言ってきた。藤原はよくやったし、渡邊光は誠実な人柄を打撃に結び付けた」と要望に応え、勝利の鍵となった投打の要をたたえた。
55歳で平成初期から同校チームを育て続けている支部屈指のベテラン指導者は、2008年に南・大会初進出を決めてから、支部強豪の一角のチームをつくり続け、根本(日本ハム)、斉藤(広島)のプロ野球選手を輩出。長い道のりの中で今回で8度目の支部突破を果たした。「これで、試合はまだまだ残っている。気持ちをまた引き締めて臨みます」―。甲子園へ近づくチームをさらに強くする覚悟だ。
―鵡川 伏兵、浦河に惜敗
代表決定戦しんがりの試合は鵡川が延長十一回タイブレークで力尽きた。試合後の控え室から号泣する声が聞こえた。主将の右翼手、岡嶋は後攻で有利と感じていたタイブレーク戦だったが、結果主導権を握られてしまった試合の状況を淡々と振り返った。「浦河は素晴らしい試合運びをした」
小池監督が全幅の信頼を寄せていた左腕エース今富が力投も中盤勝ち越された。九回2死からの連続四球の後、代打した2年生の住友が殊勲の同点打でいったんは窮地を救ったが及ばなかった。
「こちらが突いていけるようなミスが少なかった。まったく立派です」と試合後に小池監督は伏兵としてたちはだかった浦河をたたえた。「うちの今の3年生は本当に苦労しながらここまで育った。これから2、1年生で総合力を伴ったチームをつくります」と語った。





















