2日午後、フェリーから下船した乗客らはけがもなく、一様に胸をなで下ろした。一方、船内に事故の詳細は知らされず、半日近くの「待機」に疲れた表情を見せる人もいた。
「『どーん』という音と衝撃の後、(船が)引きずられたような感じだった。高い波が来たのかと思った」。2日午後0時45分すぎ、ようやくフェリーから降りた青森県八戸市の会社員新岡智教さん(47)は事故の瞬間をそう語った。同日午後2時に札幌市内で仕事の予定があったが、「間に合いませんね」と諦め顔で連絡バス乗り場に向かった。八戸市の赤坂愛蓮さん(22)も「体に強い衝撃を受けた。周りによろけている人もいた」と話した。
複数の乗客の話によると、船内では、事故から数十分たって「海上で停泊しており、確認中」といったアナウンスが流れたが、事故の状況や船の安全に関する説明はなく、八戸市の会社員女性(40)は「不安でいっぱいだった。旅行の予定が大幅に狂ったのがショック」と硬い表情で話した。デッキに出て状況を確認しようとする乗客もいたが、大きな混乱や船員に詰め寄る人はいなかったという。
船内では午前6時ごろ、川崎近海汽船からカレーが、午前11時ごろにはカップラーメンが用意され、浴場も開放された。岩手県の実家から帯広市の自宅に戻る予定だった40代女性は「沈むことはなさそうだったので、船内は『待つしかないね』という雰囲気だった。トラックの運転手は仕事先に携帯電話をかけて忙しそうだった」と振り返った。
一方、乗客の到着を待つ家族らにも不安が広がった。青森県を訪れていた娘(19)をターミナルに迎えに来た市内拓勇東町の松谷千晶さん(41)は到着時刻になってもフェリーが一向に来ず、スタッフに聞いても詳細は分からなかった。新しい情報が入れば電話で知らせてもらう約束をし、一度帰宅したが、「不安で眠れなかった。午前5時ごろに電話があったが『調査中で分からない』と言われ、結局、テレビで座礁したことを知った」と語った。
















