候補地 苫小牧沖に選定 石油資源開発、出光、北電のCCS事業 来年度にも試掘調査

候補地 苫小牧沖に選定 石油資源開発、出光、北電のCCS事業 来年度にも試掘調査

 苫小牧地域で二酸化炭素(CO2)を分離、回収、貯留する技術「CCS」の事業化に取り組む石油資源開発(東京)=JAPEX=、出光興産(同)、北海道電力(札幌市)は、CO2の貯留候補地を苫小牧沖に決めた。2023年度の調査事業で陸域も含めて検討し、国の実証試験でも実績のある海域に絞った。前年度に引き続き経済産業省のCCS支援事業に選定され、今年度は設備の設計などを行う。

 JAPEXは、勇払油ガス田などで原油や天然ガスを生産し、地下調査や掘削などに精通する実績を踏まえ、貯留地候補を具体的に検討。当初は、海域や勇払油ガス田を活用する陸域を案として挙げていた。ただ、陸域は地質構造が複雑で古い地層も多く、広範囲に安定した貯留層は見込めない一方、海域は地質構造が安定しており、16~19年には国の実証試験でCO2を海底の地層に30万トン圧入した実績もあり、CO2貯留候補地を苫小牧沖に絞った。

 CO2を年間200万トン、総量4000万トン程度の貯留を想定し、安定的に地中に圧入できる地下1000メートル前後の萌別層、荷菜層を調査し、JAPEXは「海域の帯水層が有望」と結論。「漁業者をはじめ地元の関係者と丁寧にコミュニケーションを取りながら進めたい」と強調し、今後に向けて「貯留層のポテンシャルを評価していく」としている。

 今年度は設備の設計などの調査事業を継続し、来年度にも試掘調査を行い、詳細な地下データや貯留可能量を把握したい考え。地元の関係団体などとの協議や調整が前提だが、26年度中にも事業実施判断を行う予定だ。出光、北電からのCO2輸送はパイプラインで行い、圧入する井戸は3~4本程度、貯留量は年間150万~200万トンを計画している。

 3社は23年度、経産省支援事業の一環であるエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「先進的CCS事業の実施に係る調査」の業務委託契約を結び、役割を分担しながらCCSの事業化に向けて検討してきた。JAPEXはCO2の貯留を、出光は北海道製油所(苫小牧市真砂町)、北電は苫東厚真発電所(厚真町)でそれぞれCO2の排出源として、CO2の分離、回収などを担う。

 6月28日に経産省が発表した24年度先進的CCS事業でも、3社の計画は引き続き選定された。今回は新規2件を含む国内外9件を選定し、CO2は年間計2000万トンを貯留する目標。いずれも26年度までに事業者が最終投資決定を予定しているため、次年度以降は原則として新規事業の選定は考えておらず、苫小牧地域CCSの事業化はさらに加速しそうだ。

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