苫小牧東部郊外に位置し、湿原の風景を残すウトナイ湖は周囲9キロ、平均水深0・6メートルの淡水湖。人々の生活が間近にありながら、原始の自然環境を残す貴重な場所だ。1991年、ラムサール条約の登録湿地に選ばれた。
ラムサール条約の正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。国境を越えて移動する水鳥の中継地として、重要な役割を果たしていることが評価された。
毎年マガンやヒシクイ、オオハクチョウなど数万羽の水鳥が飛来する。周辺の樹林帯はオオワシ、オジロワシの越冬地にもなっている。湖面をねぐらとするマガンは、日の出とともに餌を求め一斉に飛び立つ。その数5万~7万羽。「大群が空に広がる光景と、一斉に鳴く声の大きさに驚きますよ」と、苫小牧市美術博物館学芸員の江崎逸郎さん。美しい早春の風物詩だ。
特有の場所だから存在する多様性
ウトナイ湖は極めて多様性に富んだ場所だ。これまでに確認された湖とその周辺の植物は約450種類。水の中に生える植物や湖岸の湿地、南東部に広がる砂丘を好むなど、さまざまな特性を持った植物がまとまって残されている。
湖の北側の湖岸付近、大雨のたびに水に漬かるような場所に、ヨシやスゲの仲間がヨシ原を作っている。そこはヨシ原を好む鳥たちの繁殖場所だ。確認された昆虫は約4000種類。ヒグマやエゾシカ、エゾシマリスなど多くの哺乳類も確認されている。
ウトナイ湖は、現在の個性豊かな自然を持つ側面と、はるか昔は丸木舟で人々が行き交う、重要な交通ルートとして利用されてきた場所でもある。時代を重ね合わせ、「ウトナイ湖の多様性に注目するのも面白い視点」と、江崎さんは教えてくれた。 (通信員 山田みえこ)※終わり
【メモ】
バードサンクチュアリ…1981年5月10日設定
国の鳥獣保護区…1982年3月31日指定
ラムサール条約登録湿地…1991年12月12日指定
所在地…苫小牧市植苗
管理者…環境省北海道地方環境事務所



















